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地方銀行と証券会社で働く筆者のお金にまつわることを発信するブログです。

PBR

PBR(ピービーアール)というのは、株式を評価するための代表的な指標の一つで、正確には株価純資産倍率(Price Book-value Ratio)と呼びます。

 

これは企業の純資産(資産総額から負債総額を差し引いた資産合計)に対してどれだけ今の株価が割高かを表すものです。

 

直近の本決算の報告書に乗っている純資産を、発行株式総数で割りますと、一株あたりの純資産が計算できます。ちなみにこれをBPS(Book-value Per Shere)と呼びます。

 

企業というものは株主のものです。その資産も鯔のつまり株主のものですから、企業の株式を買い付ける際には今の株価が純資産から見てどれだけ割安かを調べなければいけません。

 

計算式は単純に、【株価÷BPS】となります。いちいち企業の決算報告書を調べに行かなくてもPBRは代表的な指数ですので大抵はヤフーファイナンスやその手の雑誌やネット証券のHPなどで簡単に調べられます。

 

この倍率が1倍とされるときは、株価と純資産がイコールになることを意味します。端的に説明しますと、PBRが1倍を割れる時というのは、市場の売値よりも企業の資産の方が多いということになりますので、その会社の株式を買い占めて買収し、会社を解散させてしまった方が投資家としては利益になるということです。

 

株式を上場させるデメリットとして、買収のリスクがあります。株式を上場させれば世界中の誰でもその企業の株式を購入できますので、大株主にあれば経営に口を出すこともできますし、買い占められてしまえば買収されてしまいます。

 

PBRが低いということは、株価が純資産に対して割安であることを示すわけですが、ならばPBRが低ければそれで良いのかというとそんなこともありません。本来PBRが低いということは危惧すべき状態です。買収の恰好の餌食になる可能性がありますから。

 

極端な話、PBRが0.1倍の株式があったとしたら、それを買い占めて会社を解散させれば10倍の利益が出るわけです。お買い得ですよね、企業の経営者はPBRが低いと買収のリスクが高まるために倍率を上げるための工夫をするのですが、長年PBRが低いままの企業も多くあります。

 

これは経営者がリスクに関して無頓着であり、経営能力の低さが懸念されます。また、投資家間ではその程度の価値しかないと判断されている場合もPBRの調整は行われないことが多いです。つまり割安でもいらないと判断されている可能性があります。

 

買った方が良いのは、業績も好調で安定してキャッシュを稼いでいる優良企業だが、一時的な原因(不祥事や外部的懸念要因など)により株価が下がってしまった場合くらいなものでしょう。常時PBRが低い企業というのはわかりやすく言えば誰も欲しがっていない株式だということです。

フランチャイズとコモディティ

かの投資家ウォーレン・バフェット氏は、ビジネスの世界を大きく二つに分けているという。非常に優れた少数の企業と、大多数の買う価値のない企業であり、前者をフランチャイズ、後者はコモディティと呼んでいる。

 

言わずもがな、投資先として選ばれるのはフランチャイズであるが、ここに属する企業というのは社会に必要とされておりまた望まれていること、代わりがそう簡単にないこと、政府の規制がない分野であることなどが挙げられるそうです。

 

これらの条件が揃っている企業というのは仮に販売数量が減ったとしてもマーケットにシェアを奪われることがなく製品やサービスの価格を維持或いは引き上げることもできるわけで、このように他社の追随を許さぬ揺るぎない地位を占めている優位性を「塀」と呼んでいます。

 

投資のポイントは、企業の比較優位性であり、その優位性をどれくらい保てるのかが特に大事であるとされます。当然ですがその優位性は大きい方がよく、バフェット氏の考える優れた企業というのは、25年から30年にわたって優れた状況を維持できる企業だと言います。

 

逆に投資しない方が良いコモディティとは簡潔に表現すれば汎用品事業です。同業他社との差がほとんどない、日用品や金融業、商品などを販売する企業は他社との優位性を価格に頼るしかありません。

 

こういった企業はインフレになった時に価格に転嫁しづらく、需給がタイトな状況くらいでしか増益を見込めずらくなります。そしてその需要を見極めるのはプロでも難しいとされています。

 

投資を行う際は、この辺りも考慮して銘柄を選ばれるとよろしいかと思います。

本日の市況

2019年8月2日の市況は、国内外ともに軟調な値動きのまま終了しました。

 

日経平均は21,087円と前日比▲453円と大きく下落しました。一時は21,000円割れを見せるほどの弱さを示していましたが、なんとか21,000台はキープして終わったというところですね。

 

日中では兼ねてより閣議決定される見通しであった韓国のホワイト国対象の除外が決定、ただこれが直ちに株価に影響が出ることはなさそうでした。韓国ウォンは下落しているようですが、市場に大きなトレンドをもたらすほどではなさそう。

 

それよりも中国側が再度報復措置を行う準備をしているというところで相場の軟調な流れはしばらく続きそう。更にはトランプ大統領が米中問題が解決するまでは措置を継続していくという意思表明もしており米中問題が落ち着くのはまだまだ先になりそうです。

 

この流れを受けてハイテク関連の銘柄が主に売りが多く出ている模様。アップルもせっかく7−9月期の予想が上振れしたものの対中関税の影響が及べば上昇分は打ち消される計算になるとして直近の株価上昇を戻してしまっています。

 

個人的にはNY市場の中期的上昇トレンドは変わらないと思いますが、押し目くらいは出てくるかもしれません。日本株は引き続き弱いですね、輸出企業も業績が低迷してきている中で、そもそも内需も弱いので買われる理由がなく売りに負けている状態です。

 

米国の継続的利下げが行われるのであれば新興国にとっては追い風になる部分もあるのでしょうが、現状ではその期待は経済市況や米中問題に左右されるため見通しが不明であることがリスクになるでしょう。個人的には現段階での投資はお勧めできないですかね。

 

先ほど今月の雇用時計が発表になり、概ね予想通りの結果となり一時的にドル高に推移しましたがすぐにドル安に押し戻されています。現状ではリスク比率の観点からはドル安に向かいやすいと言わざるを得ないでしょう。

 

円高日本株の下げ要因になるため、本日これから開かれるNY市場の勢い次第では軟調な展開が週明けも続く可能性がありそうです。

今夜FOMC

今夜の日本時間で午前3時ごろ、アメリ中央銀行金融政策決定会合の結果が発表されます。大半の投資家というか、市場は利上げ自体は確定しているものとして取引されているため、0.25bpの利下げは間違い無いでしょう。

 

それよりも今後の利下げの回数や方向性で株価は触れるだろうというのが一般的な考えですが、トレーダーでない限りは、FRBの先行き見通しよりも企業の今後の業績がどうかだけをフォーカスした方が良いでしょう。

 

利下げをすればその分確かにPERは下がるので割安性は増すわけですが、それを期待して株式を買うべきではありません。

 

個人的にはウォーレン・バフェットのように株式は保有した方が良いと思っているので、短期的な売買はあまり推奨しません。

 

利下げが継続的にされるにせよ、されないにせよ、企業業績が今後数成長し続けると確信できる企業の株式に投資するべきという姿勢に変わりはありません。

 

そういう意味では、市場はすでに複数回の利下げを織り込んでいるとさえいわれている状態なので、利下げの推移が思ったほどではないとの判断で株価が調整されるとすれば、そこは普通に押し目になり得る可能性が高いと思います。

 

個人的にはあまりFOMCの結果で一喜一憂しない方がいいとは思いますが。

 

為替ヘッジ

為替ヘッジと言う言葉を聞いたことがあるでしょうか。

よく目にするのは投資信託だと思います。種類によっては為替ヘッジなしと為替ヘッジありの二種類が存在していたりするので、これってどう違うのかと疑問に思う方は多いと思います。

 

ヘッジとは防御や保険といった予防的措置を意味するもので、要するに為替のリスクを抑えると言う意味になります。

 

さてそれはどうやって行うのかですが、基本的には証拠金取引を行います。オプション取引先物取引ですね。とは言えこれらの取引は証券外務員1種の知識が必要なのでここでは簡単に説明します。

 

現在の為替レートが1ドル100円で両替されているとして、数ヶ月後に再び1ドル100で両替をする予約を行うのです。為替予約といわれるもので、為替を扱う輸出企業などでも普通に行われている取引です。

 

輸出企業は会社予想をする際に、想定される為替レートを決めて予想を組み立てていきます。そのため、どの取引には為替予約を行い、別の取引には特段の予約行為は行わないなど、その時々の需給や市況によって企業ごとにヘッジをかけています。

 

日本の輸出企業に投資する場合、為替のリスクはその企業が色々考えてヘッジをかけていることが多いので、敢えてこちらでは為替のリスクをそこまで考えなくても良いでしょう。

 

さて、この為替予約ですが、コストがかかります。ヘッジコストといい、これは自国の短期金利と相手国の短期金利の差がそれにあたります。自国の金利よりも相手国の金利が高ければ、それはコストになるのです。

 

例えば日本の短期金利が0%として、アメリカの短期金利が2%だとすれば、ヘッジコストは2%ということになります。

 

国債券に投資を行う場合、金利は高いけど為替のリスクがあるから結局魅力的に思えない。そうだ、ヘッジをかければ良いんだとなるのですが、外国債券の金利が2.5%であった場合ヘッジコストが2%かかるので実質の利回りは0.5%になってしまうわけです。

 

投資信託も同じです。債券ファンドの場合、ファンドの保有する債券の平均利回りが4.5%だとしましょう。ファンドはこの平均利回りを強調してこのファンドはこんなに利回りがあるんだと主張しますが、信託報酬は平気で1.3%くらい取ってくるところが多いです。

 

さらにここに為替ヘッジをかければヘッジコスト分も信託報酬と合わせて利回りから差し引かれるので、実際の利回りは1%をきるくらいということもあるのです。債券売買の方で損失が出たら目も当てられない運用結果になるでしょう。投資対象が日本よりも金利が低ければ逆にヘッジプレミアムといって手数料が入ってくるのですが、金融商品で日本よりも金利の低い先に為替ヘッジをかけるものはないのでその点はあまり考えなくても大丈夫です。

 

以上、為替ヘッジの説明でした。ヘッジコストを上回って為替が円高に推移すると判断される場合に為替ヘッジありの投資信託を買うようにしてください。

株式の買付と買収は同じように考えられるべき。

株式投資を行う際に大切なのは、「株式は資産である」と言うことです。

 

一般的に、株式や債券、投資信託金融商品と分類されます。証券会社や銀行員などは、こういった商品を販売し、手数料を稼ぐビジネスをしているわけです。

 

彼らは株式の流動性を上手く使い顧客に投機への道を進ませます。株式の世界では、投機には投機の、投資には投資のやり方がありそのあたりを履き違えると痛い目にあいます。

 

ウォーレン・バフェット氏は株主への手紙でこんな事を述べています。「株式を買い付けるにせよ、買収するにせよ、分析は同じ方法で行う」と言うものです。

 

分かりやすく言えば、株式を買い付けると言うことは、その企業の一部を買収していることと同義だと言うことです。つまりあなたはとある会社の社長で、手元には潤沢な資金があり、その資金を元に業績好調で利益成長している企業を買収しようと考えているとします。

 

上手く企業を買収したら、その企業が利益成長をして時価総額が5%上昇したらまた売却して手放そうとするでしょうか、と言う話です。普通は、少し時価総額が上がったからといってその企業がしっかりとビジネスを行いキャッシュを稼ぎ続けてくれるかぎり保有し続けると思いませんか?

 

株式というものを、ただの値動きがあり安く買って高く売れば利益が出る道具としてみてしまうと、それはただのギャンブルです。どこかの誰かにこの会社の株式が安いですよと言われよく調べもせずに安易にその株式を買い付ける人がほとんどです。これは特に知りもしない業績が良いのか悪いのかも分からない会社を自己資金で買収するのと同じです。

 

そしてアメリカの大統領が何をいったとか中国のGDPが悪かったなどという経済ニュースに踊らされて短期的に動く株価に一喜一憂することになるのです。

 

株式投資でしっかりと利益を出したいのであれば、その企業が着実に、しっかりと毎年売り上げを計上し、キャッシュを稼ぎ、それを設備投資や株主還元に用いて成長し続けていると明確に確信してから買い付けるしかありません。買い付けるタイミングは確かに大事ですが、銘柄選びで失敗をしていれば元も子もありません。

 

株式を買い付けるときは、人に言われた情報を鵜呑みにせず、自分でしっかりと調べて確かにこの会社の事業に自分の資金を投じる価値があるなと確認してから買ってください。相場は気まぐれで簡単なことで上がり下がりをしますが、最終的には会社の業績に収斂していくのは歴史が証明しています。

 

株式はあくまで資産です。不動産と同じです。自分の住んでいる土地の価格を毎日調べて、少しでも下がったら売却しようと思いますか? 相場を気にするときは新たに買い付けしようと考えている時くらいで十分だと思います。

営業キャッシュフローマージン

営業キャッシュフローマージンというのは、一言で説明すると「どれだけ効率的にキャッシュを稼いでいるのか」というものです。

 

企業はまずキャッシュを稼げないと話になりません。会社の成長のためには必要不可欠なものですから。キャッシュを稼いで、その上で設備投資や株主還元などを行い、会社を成長させていく必要があります。

 

株式投資は長期的に行うことが大切というのは当たり前の話なのですが、成長していかない会社に投資をしていったとしても、株価は最終的に企業の利益成長に収斂するのですから株価は上がっていきません。

 

どんな企業でも投資し続ければ報われるということはありません。マクロ的な原因で株価が下落しても、利益成長をし続けている企業であればいずれ株価は回復しますが、業績が低迷している企業の株価は早々戻りはしません。闇雲に表面的な情報だけで踊らされて株式を買い、下落してしまったからといって塩漬けにしても損失が回復しないのはこのためです。

 

その為の指標の一つとして、この営業キャッシュフローマージンを取り入れるべきだと思われます。計算方法は簡単で、

 

営業キャッシュフロー÷売上高

 

です。

 

なお、このマージンについては最低でも15%以上は無いとよく無いと言われています。このパーセンテージが大きければ大きいほどキャッシュを稼いでいるということになります。フリーキャッシュをどう使うかによっても変わってくるので大きければ絶対良いというわけでは無いですが、ある程度数字が大きい方が安心して買える会社であることを示すことに変わりはありません。

 

私の好きなアップルの2018年の営業キャッシュフローマージンは29.1%です。

安定高収益の代表格であるVISAはなんと61.6%です。

これらの企業は確実にキャッシュを稼ぎ出し、株主還元や設備投資を行なっているわけです。長期投資をするとしたら、よくわからない企業に投資するよりも安心ですよ。