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地方銀行と証券会社で働く筆者のお金にまつわることを発信するブログです。

外貨建て保険『たのしみ、ずっと』

 

三井住友海上プライマリー生命が販売している外貨建て保険の一つであるたのしみ、ずっとに付いて解説していきます。

 

この外貨建て保険も銀行窓口販売商品でありますが、数多ある外貨建て保険の中でもとりわけ低質な商品として位置付けていいと思います。

 

外貨建て保険は性質としては保険というよりも外国債券に近い商品です。保証や安心は二の次で、高金利による運用を重視しています。但し多額の手数料や流動性を犠牲にしていますので、その差し引きで考える必要があります。

 

3月11日から24日までの積立利率を見てみます。

米ドルは2.7%。豪ドルは1.64%、ユーロは0.01%です。

たのしみ、ずっとの商品性は、この金利を年利で運用し、一年間で発生した利回りは全て円に両替して銀行口座に振り込むというものです。外貨建てでの元本は減らすことなく一定の利回りを10年間受け取り続けることができます。

 

勿論支払いは豪ドルベースですので、毎年の支払日に円に両替する際の為替レートは変わりますから毎年受け取る円換算額は変動します。毎年受け取れるのでたのしみ、ずっとという名前がついているわけですね。

 

高い金利を受け取る代わりに、流動性は大きく犠牲になります。途中で解約をしようとすると控除がかかります。初年度は10%と大きな控除がかかり、これが一年経つごとに1%ずつ減っていき、10年経った時点で解約控除は0%になるのです。つまり10年間は何かしかの控除がかかるということですね。

 

為替手数料は往復どの通貨も1円です。一般的な金融商品で比較すれば、為替手数料自体はそこまで大きなものではないです。

 

ただ、果たしてこの保険に加入するメリットはなんなのでしょうか。高金利で運用し、利回りは定期的に受け取りたいというのであれば、それこそ外国債券を購入すればいいだけではないでしょうか。

 

国債券も基本的な仕組みは同じです。外貨建てで金利を受け取り、償還時には預けたお金を返してもらうというところはまんまこの保険と同じです。為替手数料は証券会社によって違いますが、特に大きな差異はありません。

 

解約控除なんてシステムが入っていますが、これは実際にはコストです。5年後に解約しようと思えば、たのしみ、ずっとの場合は帰りの両替手数料プラス5%の控除がかかるのです。外債であれば帰りの手数料はありますがそれくらいです。この保険は余計に支払いコストが増えるのです。

 

そもそも外貨建て運用をするのであれば保険でなくてもいいわけで、この保険商品は10年後に受け取り続けるか保険金額を増やすかを選択できますが、果たしてそれがどれだけのメリットとなるのか考えなければいけません。

 

銀行がこの商品を売りつけるのは外国債券を販売できないからです。最近は銀行と証券会社で連携をするところも増えているので、敢えて外貨建て保険ではなく外国債券に誘導する営業もあります。

 

でも自分たちのところで完結させたい銀行は、金利が低いと不満を漏らす顧客に対してこういった商品を勧めてきます。果てして10年も固定されてしまうだけの不利益を上回る金融商品なのか、考えなければいけません。金利が固定されるということは、住宅ローンと同じですが金利が変わる時には不利に働くこともあります。この商品は一度買ってしまえばすぐには売れなくなります。このような条件を改めて考えてから加入するか検討するべきだと思います。