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地方銀行と証券会社で働く筆者のお金にまつわることを発信するブログです。

外貨建て保険「あしたの、よろこび」

三井住友海上プライマリー生命が提供する、個人年金型の外貨建て保険、それが「あしたの、よろこび」です。類似商品には「人生応援年金」や「かがやきの架け橋」があります。

 

平準払型の個人年金ではなく一括で支払うタイプの個人年金で、一定の据え置き期間という寝かせておく期間を経て年金受け取りを開始します。寝かせた分だけ、一回の支給と長期的に見ればトータルの支払額が大きくなるという仕組みです。

 

年金受け取りに関しては、さらに別のシステムで、万が一死亡してしまった場合、死亡返戻金をどれだけ保障してもらうかによっても利回りが変動します。一番利回りが高いのは死亡保障が無いタイプですが、この場合最悪のケースとして、据え置き期間が終わり年金を受け取り始めてすぐに亡くなってしまった場合には結果的に大損するリスクがあります。

 

死亡保障を高めに設定すると受け取り速度が緩やかになってしまうので超長期生きていなければ目に見えるメリットが感じられないというデメリットがあります。期間を短くすれば0年からでも受け取ることができますが、その場合の返戻率はかなりの低さになるでしょう。

 

数ある外貨建て保険の中でもこれは悪質な保険に数えていいのでは無いでしょうか。金融資産を為替リスクを取ることで金利のプレミアムを得るのはいいとして、資産を長期的に拘束され、また預けた分が戻ってくるまでにも非常に長い年月を要します。パンフレットには65歳の人が預けた分戻すためには約20年必要と記載され、100歳まで生きればこれだけもらえますよと一例を挙げていますが、早死にしたら目も当てられない。

 

おまけに契約当初に5%の手数料がかかります。その分解約控除は存在しませんが、だから良いというものでもありません。その上外貨両替手数料も当たり前ですが発生します。長期運用を強いられ、早死にしたら大損する商品です。どう考えてもドル建て債券でも保有していた方が利率面もリスク面もマシだと思ってしまうのですがいかがでしょうか?

 

普通、運用は長期間にわたるほどリスクが高くなります。それは先行きの見通しが長期になる程読めなくなるからです。この保険は人生100年時代とかいうフレーズに乗せられて長生きするリスクを低減させるために早死にするリスクをとって運用する商品です。勿論外貨ベースでの保証ですので為替レート次第では円換算額は保険料を下回る可能性もあります。この商品を契約するのなら、それ相応のリスクがあるものと判断して決めてください。