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地方銀行と証券会社で働く筆者のお金にまつわることを発信するブログです。

外貨建て保険「みらい、そだてる」

三井住友海上プライマリー生命が提供する個人年金型外貨建て保険の一つ、それがこの「みらい、そだてる」です。しかし、この商品の説明はそこまで難しくありません。簡単にいってしまえば、同社で提供している「しあわせ、ずっと」と「たのしみ、ずっと」の満期有り版とでも言える商品だからです。

 

この保険商品には二つのコースがあります。積立コースと定期支払いコースです。積立コースは積立利率をで満期まで増やし続けるもので、運用はしあわせ、ずっとと同じです。定期支払いコースは積立利率で増えた分に関しては毎年一回増えた分だけ支払うというもので、これはたのしみ、ずっとと同じです。

 

要するに、両者二つは終身保険ですが、みらい、そだてるという保険は満期のある個人年金ですよ、というものです。但し期間が短くなるのであたり前ですが積立利率は両者のそれと比べて低くなります。相変わらず米ドル債券と比べて圧倒的に金利が低く、契約する価値はほとんどないと思われます。

 

銀行員の営業としては、顧客はほとんど終身保険に入っており、これ以上終身保険に入っても意味がないと考えますので、そこをどうにか販売するには満期のある商品の方が提案しやすいのです。

 

金融や経済にそこまで知識を持たない人からすれば、米ドル建にすれば利回り2%はつきますよと言われれば銀行の預金金利よりははるかにマシだと思えますし、またお尻が決まっていれば資金を拘束されるということもありません。どうせ定期預金で数年間滑らせておくのだったら、という考えにもなるでしょう。

 

しかし、保険商品というのは複雑怪奇に作られており、その中身を完全に説明できる営業員はおそらく存在しないでしょう。あらゆる費用が内在しており、そのせいで通常の債券ほどの利回りは出ないものです。

 

例えばこの商品を3年間だけ運用すると考えると如実にお分りいただけるでしょう。2019年3月17日執筆時点での米ドル建ての積立利率は1.38%です。ゴールドマンサックスの外貨MMFの利回りは約1.9%です。ネット証券では米ドルの両替手数料は大体片道25銭ですがこの保険は50銭です。さらに保険には解約控除がかかるので満期前の解約には別途手数料が発生します。

 

果たしてこの保険を契約する価値があるでしょうか。答えは驚くほど簡単です。