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地方銀行と証券会社で働く筆者のお金にまつわることを発信するブログです。

積立保険「じぶんの積立」

明治安田生命が提供する無配当災害保証付積立保険、それが「じぶんの積立」という積立保険です。

 

この保険は将来の資産形成のために、元本保証をしてもらいながら少しでもお金を増やしたいというニーズに応える商品です。

 

商品の仕組みは基本的にはあまり難しなく、毎月最低5,000円から保険料として支払っていき、5年後には支払いが完了します。ただその後すぐに支払いを受けるわけではなく、そこから更に5年間、据え置きの期間を設けます。

 

つまり保険料の払い込みからトータルで10年間の預け期間をもうけ、満期になると返戻金が3%増えるというもの。通常この手の保険は途中で解約すると解約控除が取られ元本が毀損するのが通常ですが、この保険に関しては控除は取られず、最低でも預けた分は戻ってくるのが推しの理由となっています。

 

この部分から、保険会社の営業員は家族親戚友人にお願いセールスをする際にも元本が割れないからあまり迷惑にならないだろうという罪悪感を軽減させる効果があります。入る方も何にも考えなしに元本が割れないこと、10年間で3%の利回りがつくことからお得だと感じて加入する人もいるでしょう。

 

ただし、はっきりいってこの商品はあまり良い商品とはいえません。少なくともお得な保険ではありません。

 

資産運用としてこの商品を考えた場合、悪質とまでは行かずとも低質な商品であることは違いないでしょう。

 

資産運用の最低目標として、物価変動による購買力の減少を抑えることがあります。実質金利の考え方ですが、要するに将来的に色々な物の値段が上がっていくことで目減りするお金の価値を守るのが投資の役目でもあります。

 

日本銀行は現在金融緩和を行い年々の物価上昇率を2%にすることを目標にしています。全然達成できていませんが、あらゆる消費物の値段が騰がっていることは事実です。生活必需品だけで見ても値段の値上がりは今後も続いていくことでしょう。

 

問題なのは、今後10年間の間に、物価上昇が3%を超えるかどうかというところですが、政府がインフレにするために物価を上げる政策を行なっていることから必然的に物価は上がり続けるでしょう。

 

10年後の物価が今よりも3%以上騰がってしまった場合、この保険に10年間預けておいても購買力は保てません、つまり実質的には損失を被る可能性が非常に高いです。ましてや始めの5年間は0.001%の利息すら付きません。預けた額が戻ってくるだけで時間の損失になります。

 

世界に分散する株式インデックスファンドを10年間運用する方がよほど利益は取れるでしょう。一括であずけたと仮定すると、10年後に3%増える複利計算を行うとせいぜい年利は0.3%といったところです。

 

確かに今の銀行預金などと比べれば高い金利かもしれませんが、ゼロ金利に慣れすぎて微々たる金利差でさえ利回りが高いと錯覚しているだけです、0.3%の利回りでは物価の上昇には全く対応できません。

 

タンス預金や普通預金よりは利回りがいいですが、あくまでそのレベル。保険会社や営業員はそれをはるかに上回る手数料を徴収しています。この保険を加入するのであれば、ボランティア精神で保険会社と営業員を喜ばせることに価値を見出す思いで契約してください。