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地方銀行と証券会社で働く筆者のお金にまつわることを発信するブログです。

CAPM(資本資産価格モデル)

現在の資産運用業界では、「リスク」という言葉をそのままの意味では使いません。

一般的にリスクというのは、危険、予想の出来ない事象の発生する可能性などを指します。ですが投資の世界で言うリスクと言うのは、ボラティリティとイコールに扱われています。いわゆる資産価値の値動きの幅のことです。

 

現代ポートフォリオ理論においては、リスクは標準偏差として表現されます。ここでは細かい説明は省略させていただきますが、値動きの幅を統計で表した数値のことです。

 

よく聞く言葉ですが、ハイリスクハイリターン、ローリスクローリターンというものがあります。これは高い収益を期待するのであれば高いリスクを負う必要がある、逆にリスクを低く抑えようとすると利益も小さくなるというもので、これを数学的に計算式として構築したモデルがCAPMです。

 

専門的に説明するとなると非常に高度な数学的知識が必要になるので、ここでは理論をお話します。どういうものかを知っておくだけで十分だと思います。投資家が求めるリターンはこのように計算されることになります。

 

 

期待する収益率=リスクフリーレート+β(マーケットリスクプレミアム)

 

なんのこっちゃという言葉が羅列していますが、簡単に要約すると次のようになります。

 

リスクフリーレート・・・・・・・・国債の利回り

β・・・・・・・・・・・・・・・・マーケット全体

マーケットリスクプレミアム・・・・リスクフリーレートとβの差

 

リスクフリーレートはリスクが最小であるだろう国債の利回りです、とりわけ長期国債の利回りが選ばれます。βは市場全体のことを指しまして、日本ではTOPIXなど、アメリカではS&P500などがこれに当たります。

 

国債はデフォルトさえ起こさなければ損失することはありません。金融商品の中では最もリスクの低い商品です。もちろんあくまで名目での話であり、実質ベースではインフレなどの調整が入るのでこの言葉自体には語弊がありますが、数字上は損しません。

 

βが1というとき、それは市場全体に動きが追随することを意味します。βが2であるとき、市場が10%動いた場合その対象は20%動くということを意味します。

 

リスクプレミアムは投資の世界ではよく聞く言葉ですが、意味は簡単にリスクを負うことで上乗せされる割増分のことです。株式に投資をする理由の根本はこれです。預金にしておいてもお金は増えないのがこの国です。リスクを取ってでもお金を増やす活動をするのが投資ですね。

 

リスクは要するに振れ幅のことを指しますが、この考え方をバフェット氏は嫌います。リスクとはそのままの意味、危険度や損失の可能性を指すのだと言います。バフェット氏は予測可能な企業をしっかり分析して将来のキャッシュフローを導き出し、適切な割引率で割引けばリスクは小さくできると考えます。リスクは自分がやっていることを理解していないことから生まれる、という名言はそこから来ています。