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地方銀行と証券会社で働く筆者のお金にまつわることを発信するブログです。

名目と実質と購買力

名目や実質という言葉をご存知でしょうか。経済の世界には指標などでよく使われるものですが、経済学の基本的な考え方なのでこの意味を理解しないとお金や投資の話を始められません。私もお客さんにこの話をよくするのですが、経済の勉強をされていないとイマイチ直ぐに理解を示してくれる人は多くありません。

 

 

名目というのは簡単にいってしまえば「見せかけ」です。あくまで数値上のもので、市場で取引されている物の値段がこれです。実質というのはインフレなどの物価上昇も考慮して考えられる実際の数字ということになります。

 

 

投資の世界では「名目金利」や「実質金利」が重要な考え方になります。何故投資をしなければいけないのかについて、特に今の日本においては大切なお話です。経済学の中でも基本的な知識であり、この意味を理解できていないと経済を正しく認知できないとされます。

 

 

ただ、これらを理解するには「購買力」という言葉を知る必要があります。多くの日本人はこの考え方が理解出来ていないと感じます。経営者の方や投資の世界に詳しい人であればこの言葉を出すだけで理解してくれるのですが、それ以外の方には言葉を聞いたこともないという人も多いです。

 

 

ここでは細かい話はしませんが、購買力というのは要は「物を買う力」だと思ってください。そのまんまですね、お金が持つ物を買う力こそが大切なのです。今は色々なものの値段が上がってきているので理解しやすいと思います。1年前に100円で買えたカップラーメンが、1年後には110円になってしまい買えなくなったなんてのはよくある話です。

 

 

この場合、日本円の100円の購買力が約10%低下したことになります。額面、つまり「100円」という数値は全く変わってはいませんが、その価値は低下しているのです。要するに損失をしているのです。

 

 

話を金利の話に戻しますが、名目金利というのは表面上の金利です。今の銀行預金の定期預金金利は大体0.01%です。もはやあってないようなものですね、日本政府は現在毎年の物価上昇率を2%ずつ上げていく目標を掲げています。達成は出来ていませんが、消費者物価は着実に上がっているので、ここでは全体的に2%物価が上がっていると仮定してお話します。

 

 

この場合、計算式は「名目金利」ー「物価上昇率」で表されます。この場合では

0.01-2=-1.99%

となるので、実質金利は-1.99%で目減りしているのが分かります。つまり現在の日本国内でただ銀行預金にお金を預けていると、数値上は減っていないですが実質的な「価値」が損失を被っているのです。経済の世界ではこの価値を重視します。当然ですよね、表面的な数値は価値を表していないのですから。

 

 

日本は義務教育で経済の勉強をしないので、この考え方が理解できずに100万円が10年後でも100万円から変わっていなければ損していないと考える人が多いのですが、実際には大きく損失している可能性が高いのです。変額保険などではよく使われる仕組みですが実際には損しているのだとご理解いただければと思います。