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『しあわせ、ずっと2(定期支払コース)』のメリットとデメリットをご説明いたします。【外貨建て保険】

銀行の窓口などで、過去に『たのしみ、ずっと」という商品が販売されていました。理由は分かりませんが、この商品は『しあわせ、ずっと」に統合され、しあわせ、ずっと2という商品が出来上がりました。

 

『しあわせ、ずっと2』とは、要するにしあわせ、ずっとたのしみ、ずっとを併合した商品なのです。積立コースと定期支払コースに名前を変えただけです。今回は、たのしみ、ずっともとい定期支払コースのメリットとデメリットをご説明したいと思います。

 

 

まずはメリットからご紹介しましょう。

 

海外のお金の金利で高い利回りを受け取れる。

外貨建て保険のメリットは極論ここに限られるといっても過言ではありません。日本円では金利は当然ですがほぼつきません。それは円建ての保険にしても同じで、保険会社は円建ての保険で死亡保障を厚くできないので、外貨建てに注力せざるを得ないのが現状です。

 

2019年12月16日〜29日の期間に適用される利率を見てみますと、アメリカドルは1.6%に対してオーストラリアドルは0.5%です。どういうわけか、オーストラリアドルの場合、積立コースよりも0.15%利率が低いんですね。この利率では為替のリスクの方が高くてやる意味がないと思いますけど。

 

何はともあれ、日本円の定期預金は0.01%という最早ゼロ金利と呼んで差し支えない状態なので、アメリカドルで1.6%の利率は魅力的でしょう。

 

毎年1回利率で増えた分はお通帳に入ってくる。

 

正直なところこれをメリットと捉えるかどうかは微妙なところなのですが。積立コースの場合目標達成をするか意図的に解約しない限り自分で使うということは基本的にできません。

 

定期支払コースでは年に一回増えた分がお通帳に入ってくるので、その分に関してはご自分でお使いいただけるわけです。なので、家族に遺すためのお金だけど、自分が亡くなるまでは増えた分くらいは自分で使わせてちょうだい、というのがこの商品です。

 

通常の保険と同様のメリットがある。

 

契約者に万が一があった際、死亡保険として指定した家族に残せるので、現預金と違い相続で揉めることはこのお金に関してはないでしょう。また終身保険なので、相続税法第12条により相続税の控除枠を活用できます。

法定相続人の人数 × 500万円

については、被相続人の総資産から控除されるのです。但し契約者が被相続人、受取人が法定相続人でなければいけません。ここは気をつけてください。

 

続いてデメリットをご案内いたしますね。

 

外国為替の影響を受け損失を被る可能性がある。

 

この商品は海外のお金に両替して、その国の金利を享受しようというコンセプトですから、両替レートによっては海外のお金を戻す際に円高であれば損失を被る可能性があります。

 

また、利率によって増えたお金はもともと海外のお金なので、毎年通帳に戻すためには日本円に再度両替する必要があります。

その際に為替レートによって日本円での換算額は毎回変わりますので、入ってくるお金は増えたり減ったりすることになります。

 

為替手数料が高い。

 

この保険はどちらのコースでも同じですが、日本円から外貨に両替する際に両替手数料が発生します。こういった商品の場合、当日の為替レートを大体午前10時くらいの為替相場で決定します。そこからさらに50銭を上乗せして両替レートを計算することになります。

 

つまり、例えばその日の為替レートを1ドル=100円とした場合、本商品を買い付ける際の実際のレートは1ドル=100円50銭で計算するのです。これはおよそ0.5%の手数料だと考えてください。更に毎年の定期支払金や死亡保険金として日本円に戻す場合にも逆のことが発生しますので、往復で1%の手数料を取られると思ってください。

 

そもそも毎年貰うなら債券でも良いのではという疑問。

 

この商品は保険商品です。家族に残す、相続税控除に活用するというのであればこれでも悪くはないのでしょうが、運用という目的が第一に来る場合、この商品はあまり適切ではありません。なぜなら、単純に高利回りの商品が良いのであれば債券でもいいからです。

 

例えばソフトバンクグループが定期的に発行している社債なんかは、前回(2019年9月に募集があった第57回発行分)は期間7年で利率は1.38%でした。これはソフトバンクグループが債務不履行にならない限り安全な商品です。これでもこの保険と近いくらいの利回りは出ますし為替の影響はありません。別途支払う手数料もありません。年に2回利息が振り込まれます。

 

また外国債券であれば為替のリスクは同じですが発行元などの違いからもうちょっと利回りの高い商品も選ぶことはできます。米ドルや豪ドルであれば債券が満期が来て償還しても、外貨のまま保有できる仕組みがあるので、為替のリスクをある程度抑えることも可能です。

 

定期支払金は雑所得。

これは言葉通りの意味ですが、定期支払金は雑所得になりますので確定申告の際にはお気をつけください。

 

個人的な見解を述べますと・・・

正直なところ、定期支払コースはお勧め出来ません。なぜなら基本的な仕組みは債券とほとんど同じだからです。ちなみにこの保険商品は預かった外貨は債券で運用します。

 

市場調整なんて言葉がパンフレットに書かれていますが、これはほとんどのお客様が理解されていないと思います。というか銀行員でも理解してないで売ってる営業員が結構いるのが実情です。

 

別記事でも取り上げますが、債券の値段というものは、金利と反比例します。簡単に説明すると、金利が上がれば債券の値段は下がります。金利が下がれば債券の値段は上がります。ただ為替レートだけでみているとアレッ? ということがおきますのでご注意が必要です。

 

為替のは結構円安なのに日本円に換算するとそうでもない、というときは、その国の金利が上がっている可能性があります。

 

相続税控除に使いたい、受取人を決めておくお金がある、こういう時にはこの商品も契約する意味がありますが、もしも預金金利は低いですからこちらはどうですか〜?という誘い文句で検討されるなら、私はお勧めしません。銀行は投資信託か外貨建て債券しか手数料の高い金融商品がないので、必然的に保険会社から高い手数料が入ってくるこういったものを提案してきます。契約する際には、よくご検討をしてから申し込むようにして下さいね。

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商品情報:しあわせ、ずっと2 | 三井住友海上プライマリー生命