『しあわせ、ずっと2(積立コース)』のメリットとデメリットをご説明いたします。【外貨建て保険】
銀行の窓口に足を運んだ時、窓口の銀行員から
「今は預金金利も低くて預金のままおいてもお金は増えません。少しでも高い金利が期待できる商品に興味はありませんか?」 と勧誘されたことはありませんでしょうか。
大体銀行員がこのような話をするときは、投資信託か外貨保険の勧誘です。というよりもそれ以外にはないと思ってもらって結構です。
今の普通預金の金利は0.001%、定期預金だって0.01%です。ATMの手数料1回で簡単にマイナスになってしまう利回りです。どうにかならんもんかと思っている時にこのような話を聞くと興味が湧いてしまいますよね。
今回は地方銀行のほとんどで販売されている外貨建て保険「しあわせ、ずっと」について商品のメリットとデメリットをシンプルにご説明したいと思います。
まずはメリットからご案内しましょう。
海外の通貨で運用するので、高い金利と為替で更なる利益を狙える。
日本の金利は世界的に見てひじょーに低いです。ヨーロッパも負けないくらい低いです。こういった国の通貨は利回りがほとんどつきません。悲しい話ですね。
しかしアメリカやオーストラリアは金利が日本よりも高いです。アメリカの政策金利はおよそ1.5%すると思ってください。つまり、アメリカのドルに両替すればその金利を受け取れるのです。素晴らしいですね。
要するに、金利のつかない円なんていらないから手放して、金利のつくアメリカのドルに変えましょうということです。ただ通貨を変えるだけで金利がつくなんてすごいですね、なお2019年12月16日〜29日のこの保険のアメリカドルにした場合の利率は1.6%です。
さらに、将来的に円の価値が下がり、ドルの価値が上がれば(円安)、ドルを円に両替する時にさらにお金が増えるのです。まさに良いことづくしです。これはもう契約しないなんてもったいないでしょう! なんて営業がされるわけです。
相続税控除に使える。
この保険は終身保険ですので、契約者が死亡した際には預けていた海外のお金は円に戻されて死亡保険金として支払われます。
相続税法第12条には、生命保険の死亡保険金には
「法定相続人の人数 × 500万円」
の限度額まで相続税の非課税枠が使えるのです。税法に関する詳細はここでは割愛しますが、契約者が被相続人、受取人が相続人の場合、相続税を抑えることが出来るんですね、これはありがたい制度です。
利益の目標設定ができる
為替は毎日動いています。そうでなくても保険なんて契約したら内容なんて普段は忘却の彼方に行ってしまい、思い出すこともそんなにないことでしょう。そうすると、実は過去のあの時点で解約すれば結構な利益になったのに、ということがまま起こります。
この保険はそんな時に決めた目標利回りまで円換算額で達成した場合に外貨運用をストップする機能があります。これで放っておいても運用が良いところまで来ればいちいち気にしなくても済むことになりますね。
お次にデメリットをご案内します。
外国為替で損をする可能性がある。
メリットの点でお伝えしましたが、円の価値が下がり、ドルの価値が上がった場合、ドルから円に戻した時にさらに増えて戻ってくることになります。これは逆説的に言えば、円の価値が上がり、ドルの価値が下がった場合(円高)、ドルから円に両替する時に損失が発生することを意味します。つまりリスクのある商品なんですよ!
目標設定はあくまで解約控除込み
為替や利回りで一定の水準に達した際に、そこで外貨での運用をストップするシステムがあるわけですが、このラインには単純に利率と為替だけでなく、解約控除も考慮しなければいけません。解約控除は初年度は5%で、そこから1年ごとに0.5%ずつ減っていきます。つまり初めの数年はちょっと為替が良くなったくらいでは目標達成しないのです。
そもそも外貨で保険にする意味はあるのか疑問。
この保険商品は終身保険です。終身保険の目的は契約者が死亡した時、残された家族に少しでも多くのお金を遺してあげようという趣旨のもと契約されます。しかし外貨建て保険の場合、利率は確かに日本円よりも高いですが、両替するときのレート次第では普通にマイナスになり得るわけなので、もしかしたら契約した時よりも円としては減ってしまう可能性があります。
個人的な意見として・・・
この保険には以上のようなプラス面とマイナス面があります。分かりやすく分解すると
海外のお金の金利で増やす+死亡保険
これがこの保険です。
しかし、仮に外貨運用をしたいということであれば、外貨定期預金なり外国債券なりの選択肢があります。外貨定期預金は金利的には店舗型地方銀行では若干劣るかもしれませんが、ネット銀行ならより金利が高いところもあります。
そこに円建ての死亡保険をセットすれば同じようなメリットはあるはずで、わざわざ解約もしづらく手数料も掛かる外貨建て保険にするメリットはないのではないかと思います。
それでも世間にこれだけ外貨建て保険が溢れているのは、銀行や証券会社にとって大きな収益源になるからです。投資信託と外貨保険では銀行や証券会社に入ってくるフィーがべらぼうに違うのです。
収益重視となってしまった今の金融業界では、目先の手数料欲しさに少しでも手数料の高い商品を提案してきます。こういった商品を検討する際は、本当にこの商品が自分に合っているのか、他の選択肢はないのかについてよく考えていただければと思います。
商品情報:しあわせ、ずっと | 三井住友海上プライマリー生命