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地方銀行と証券会社で働く筆者のお金にまつわることを発信するブログです。

外国為替の円安と円高をシンプルに分かりやすくご説明します。

テレビの経済ニュースや投資を行おうとする際に必ずといってもいい頻度で耳にする言葉、それが円安とか円高とか言われるものです。

 

よく聞くけど、そもそもいったいどういう意味なの?

 

外貨建て保険や外国資産に投資を行う投資信託は今や物珍しい商品ではなくなりました。ですが、保有しているお客様でさえいまいちこの言葉を理解されてない方が多くいらっしゃいます。できるだけ分かりやすく、シンプルにお伝えできればと思います。

 

 

 

円高とは日本円の価値が上がっていることです! 

お金とはそもそもなんでしょうか。答えは単純に

モノを買う道具」です。

つまりお金の価値というのはこの

モノを買う力」を指すんですね。

 

円高というのは、円の価値が高くなることを表現する時に使うことなんです。

つまりニュースなどで昨日よりいくらいくら円高に〜なんて言葉が出てきたときは、昨日よりも日本円のものを買う力が高まっていることを考えて下さい。逆に円安というときは、あなたのお財布に入っている日本円のものを買う力が弱くなっている、ということなんです。

 

どうして円安や円高が起きるのでしょうか!?

 

お金のものを買う力が強くなるとか弱くなるとかを説明するには、物価を理解しなければいけません。ここでは難しいことは置いておいて、モノの値段という解釈をしていただければOKです。

 

モノの値段が上がると、景気は良くなります。実際は一概にそう言えないのですが、一般論ではこういう表現がされます。なぜなら、モノの値段が上がるということは、それを販売する企業の利益が増えるからです。

 

企業の利益が増えれば、それだけ給料を多く出せることになります。やはり実際にはそんなことになっていないのが今の日本なのですが、ここではあくまで理論的なお話として説明しますね。

 

お給料が増えればサラリーマンは多くのお金を手にすることができるので、支払いに余裕を持てるので色々なものをより買えるようになります。そうすると、企業の利益がまた増えていく、そんな一連の好循環が景気を良くするのです。

 

景気が良くなることをインフレーションと呼びます。日本政府はこの循環にもっていくためにあの手この手で景気をよくしようとしています。結果はサテオキですが。

 

さて、景気はそれで良いのですが、このインフレーションになると、日本円のモノを買う力は弱くなるんです。つまり円安になるんですね。なぜなら、景気が良くなると企業はより多くのモノを販売しようとするのでコストが上がりますし、モノの需要が増えていくことで値段は釣り上げられていくのです。

 

つまり、もともとは100円で買えていた製品が、値段が上がることで100円では買えなくなるわけです。これは、お金のモノを買う力が弱まっていると解釈できるわけです。これが円安です。逆にモノの値段が安くなっていく(いわゆるデフレーション)と今まで100円で買っていたものが、お釣りが来るようになるので、モノを買う力が強くなったと解釈できるので、円高というのです。

 

まとめますと、モノの値段が上がっていくと、円安になります。

モノの値段が下がっていくと、円高になります。

この話、外国為替を理解するためにはとても大事なお話なので覚えておいてもらえればと思います。

 

二つの国の物価の不公平さを調整するのが外国為替です!

例えばアメリカと日本の景気は違いますよね。物価も違います。日本もインフレに動いてはいますが、アメリカほどでは全然ありません。金利も海外の方が高いところがほとんどですね。金利が高いということは、景気が良いのですね。金利を高くしても借りてくれるわけですから。

 

さて、ここで思考実験といたしましょう。あなたにアメリカ人の友人がいたとします。説明をわかりやすくするために、あなたは100円を、友人は1ドルを持っていたとします。

日本の金利は0%、アメリカでは好景気で2%の金利だと仮定して下さい。

外国為替レートで、1ドル=100円だとした場合、あなたと友人が持っているお金は同じ価値を有していることになります。

 

一年後、あなたの手元には100円がありますが、友人はいつの間にか1ドル2セントになっているではありませんか!つまりは・・・

1.02ドル=100円

という為替レートになるのですね。

 

今までは100円で1ドルに交換したけども、今は100円で1ドル2セント交換できるんです。これはあなたの日本円の価値が上がったということです。円高です。これが、インフレーションになっている国の通貨の価値は下がるという理屈です。

 

さてさて、外貨建て保険や外貨定期預金では、日本の円では金利がつかないので、海外の通貨に両替してお金を増やしましょうと言われます。ではこのケースで考えてみて下さい。

 

あなたの100円を友人の1ドルと交換してもらいます。その時の交換レートは1ドル=100円ですね。1年後、あなたの持っているアメリカドルは1ドル2セントに増えますが、アメリカの友人は100円のままでお金が増えていきません。

 

これ、すごく不公平ですよね。

 

だって日本は不景気で物価があまり上がらないので、2%の金利は非常に魅力的です。しかし、友人のアメリカ人からすれば、自分たちの住んでいる国のモノの値段はどんどん上がっていくのに持っているお金は一向に増えないのですから、損してばかりです。

 

こんな片方だけが儲かるような不公平な状態は、正されなくてはいけません。この役割を担っているのが外国為替なんですね。増えたアメリカドルを再度日本円に戻す時に、円の価値をあげることでその分を利益を調整するのです。

 

上記の例で言えば、最初1ドル=100円で両替をして、一年後に日本円に交換する際の交換レートが1.02ドル=100円という交換レートで両替させることで不公平さを調整するのです。

 

外交為替レートは短期的には色々な要因で変動します。企業間の受給であったり投資家の思惑、政治の影響もあります。些末な材料に一喜一憂して売買がされるので為替レートはその度に変動します。

 

しかし、長期的にみていくと今のように、2つの国の物価上昇によるインフレの違いから起きる不公平さを相殺するように変動していくのです。インドやインドネシアなどの経済成長著しい国と日本の為替レートを調べてみて下さい。綺麗に円高に進んでいるのがわかります。

インド・ルピー/円の為替レートの推移 - 世界経済のネタ帳

*世界経済のネタ帳様より

 

外国為替が円安や円高に推移していくのは、こういった事情があるのです。銀行員や保険の営業の人はそこまで詳しいことは言いません。といってもそこまでの知識を持たない人も多いので、説明することができないというのが実態ですが。

 

証券マンはそういった経済の仕組みを知っている人が金融業の中で相対的に多いと感じていますが、それを知った上で販売しているのでより悪質なんですね。

 

まとめ

 

日本円のモノを買う力が強くなることを円高、弱くなるのが円安。

景気がよく物価が上がっていく国の通貨の価値は下がっていく。

長期的には2つの国のインフレーションの不公平さを相殺するのが外国為替です。

 

*因みに、モノを買う力のことを経済用語で購買力とよびます。

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