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地方銀行と証券会社で働く筆者のお金にまつわることを発信するブログです。

外貨建て保険『しあわせ、ずっと』

三井住友海上プライマリー生命が販売している銀行窓販向け外貨建て保険の代名詞的存在、それが「しあわせ、ずっと」という外貨建て保険です。

 

一体何がしあわせ、ずっとなのかは未だに解明できていません。この保険商品を契約して誰が幸せになるのかと問われれば、それは恐らく保険会社でしょう。

 

窓口となって販売している銀行もなかなかにして結構な手数料が入ってきます。投資信託は明確に手数料がいくらかかるのかを明示されているため、顧客としても自分がどれだけ手数料を支払っているのか分かるのですが、保険は現在手数料を明確にしるすことはしていません。

 

ですので、銀行や保険会社にどれだけの手数料が入るのか分からず契約させられます。ですがこれだけは覚えておいてください、投資信託の手数料なんて可愛いものだと思えるくらいの手数料が実際はバックされています。

 

それはさておき、この保険商品の解説に入ります。

 

 

円建終身移行特約付通貨選択利率更改型終身保険の一種です。

 

いきなり意味不明な漢字だけの羅列で驚かれるかもしれませんが、まさしく言葉通りなのです。

 

まず、この保険は外貨建てです。米ドルか豪ドルかユーロに両替し保険料を納めます。執筆時(3/11~24)の積立利率は米ドルが2.7%、豪ドルが1.92%、ユーロは0.01%となっています。

 

一昔前はオーストラリアの方が金利が高かったので豪ドル建が多かったですが、現在は米ドル建で契約する方がほとんどです。この商品は基本的にシンプルで、この利率が10年継続します。死亡保証金額は評価額とイコールです。

 

そしてこの商品には目標設定をする仕組みがあります。これが円建終身移行特約です。

大体のお客さんは最低の105%を目標にします。

 

これだけ見るとすぐにでも目標到達して終わってしまうのではないかと思われるかもしれませんが、実際はそうは問屋が卸しません。

 

解約控除と呼ばれるものがあります。目標にはこれが絡んできます。保険は満期前に解約すると解約控除がかかってしまうのは何もこれだけに限った話ではありませんが、この商品に関してはなかなかにきついのです。

 

一年目に解約しようとなると、10%の控除が引かれます。次の年には9%惹かれるようになります。その次は8%と、1%ずつ減っていく仕組みです。そこに目標の5%が上乗せされるのです。つまりもし初年度に目標達成しようとした場合、為替差益で15%の円安が必要となります。その翌年は14%、次の年は13%となっていくわけです。

 

大方5年くらいが経過すると、実質の目標額は10%になるので、積立利率が2%を超えていればちょうど為替が円高に振れていなければ達成することになります(但し往復の両替手数料は1円発生し、市場調整もかかるので注意)。

 

為替次第ですが、影響を受けなかったとして5年で目標達成したとしても、年利で言えば結局1%も付いていなかったということになります。何故ならば高い手数料が取られているからです。

 

それでいて保険と言いつつも、あくまで解約した時の外貨建ベースが解約金になるので安心感もなし。5年も置いておくなら明らかに投資信託の方が利回りも見込めるし流動性も高い。

 

要するに、流動性が低く、手数料が高く、資産増加は微々たるものなのです。外貨建ての運用をしたいのなら証券会社で外債を買うか外貨定期でもやっていた方がまだ良いでしょう。両替手数料や金利面ではそちらの方が上です。

 

銀行は投信か保険しか売れません。相場が悪い時は投信が売れないので、必然的に保険ばかり売るようになります。くれぐれも契約するかどうかは慎重に検討してください。なお、類似商品にしあわせの架け橋やグローイングライフといったものがありますが、いずれも中身は同じです。