The LOP REX-hatena version-

地方銀行と証券会社で働く筆者のお金にまつわることを発信するブログです。

日銀の政策決定会合の結果、手詰まり感が露呈した。

本日、30日から続く政策決定会合が終わり結果が報じられたわけですが、案の定というか、フォワドガイダンスの変更に止まり特にこれと言った景気対策はしないことを決定しました。

 

景気の流れが減速し、世界的に景気の停滞が見られ始める中で、アメリカのFRBは予防的措置としての利下げを敢行してきました。その政策を受けて新興国は対策として利下げに追随、EUでも再び緩和政策に転じるなど世界的に利下げの流れが生まれました。

 

先日のFRBの会合の結果、今年最後の利下げは予定通りに行われましたが、これにて利下げは終了ということになりました。しかし、今後再び世界の景気が悪化するような事態がみられれば再度利下げを行うという説明を加えました。複数のアナリストは来年1回の利下げがあるとみています。

 

先月に布石とも言えるような、日本の金融システムはマイナス金利ありきで回っているので深掘りしても耐えられるだろうという発言があったことで、S&Pなどは今回の政策決定会合でマイナス金利の深掘りをするだろうという予想をしていました。

 

しかし実際は文言の変更だけにとどまり、2020年を目処に今の政策を維持する部分を期間を明確に決めないように変えただけでした。日銀はこれまでもずっと何かあればマイナス金利の深掘りは躊躇なく行うと発言してきましたが、実際は躊躇ばかりしていて何も行動は起こしていません。いわゆる口先介入です。

 

世界的な利下げの流れの中で日銀が利下げを行わないという決定により円買いが促され為替は円高に推移しました。相場がリスクオンにならない限りは、基本的に円高方面に触れやすいと言えるでしょう。

 

日銀としては難しい判断です。先日のS&Pの試算では、仮に日銀がマイナス金利を深掘りした場合銀行大手は6%、地銀は21%の本業減収になるだろうと伝えています。三井住友銀行の社長は深掘りをするなら口座維持手数料を取らざるを得ないと牽制していますが、実際にやってくるでしょう。

 

しかしだからと言って、このまま何の対策も取らなければ為替は円高に触れやすくなります。相場がリスクオンに触れればまだしも、何かしらのリスクが健在になればすぐにでも円高方面に進みやすくなるでしょう。

 

円高になると輸出を主とする製造業メーカーの収益は必然的に減少してしまうでしょう。パナソニックが想定為替を対ドルで110円から107円に引き下げたように、中期的には円高に動くと判断しているわけです。

 

日銀としては、深掘りしてもしなくてもあまり良い結果を生まない可能性が高く、せめてもの対策としてガイダンスの変更や口先介入でなんとかやり過ごしています。これが日銀の現状であり、この状況を打開する道筋は立っていません。

 

そもそもが日本のスタグフレーション的状態を打開しなければいけないのですが、それには政治的な力が必要です。実質賃金を増やし、消費を促さない限り景気は回復には向かわないわけです。しかしやっていることは正反対の消費増税、健康保険料や厚生年金も引き上げ続けるのでしょう。

 

庶民の懐はどんどん寂しくなるような政策ばかりしている。人口も減っていくし労働力は無くなっていく。正直こんなにも明るい未来の見えない先進国って日本くらいなのではとも思ってしまいます。

 

我々ができるのは、せめて中長期的に成長をし続ける企業の株式を保有して少しでも資産の構築を図るくらいなのです。今後も投資の必要性を語っていきたいと思います。