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地方銀行と証券会社で働く筆者のお金にまつわることを発信するブログです。

市況なんて関係ない

証券会社や銀行の営業員、はたまた巷の投資情報サイトなんかでは、日々市況環境を説明しています。運用している商品の評価額がマイナスになっているときにはその理由を説明するため、プラスになっている時は新たな投資先に資金を移してもらうための商品提案のためです。

 

投資情報サイトでは日々最新の情報を発信することで色々な人にサイトに訪問してもらうためという目的があります。情報自体は大切なものではありますが、今日はこれこれこう言った理由で上がったとか下がったとか、そう言った市況の話ははっきり言って投資の観点からはあまり必要性はないと思います。

 

投資という行為は、将来の成長性に期待して資金を投じる行為のことを指します。例えば私が尊敬するウォーレン・バフェット氏は、10年、20年と成長し続ける企業に絞って投資をします。この考え方でいけば、1ヶ月後や1年後の株価なんてあくまで通り道であり、上がっていようが下がっていようがあまり関係ないのです。

 

むしろ、長期的に企業が成長し続けるのであれば、なんちゃらショックやなんとか問題で世界的に株価が暴落したときなんかはただのバーゲンセールだとしか考えていないそうです。

 

投資はそれくらいのスパンで考えた方が結局のところ最終的には利益を見込めるものです。であれば、今は米中問題がどうとか、最近は半導体の企業の決算が良くて、なんてだからなんなんだという話になりませんか?

 

株式以外の例えば、不動産とか芸術品とかもそうですが、値段が上がっているときに買うということはすなわち、近々もっと値段が上がったらすぐに売却してやろうというギャンブル的思考が働いているはずです。

 

投機をしたくて取引をするのであれば、それで良いと思います。むしろトレーダーは値上がりしているものを買うのが一般的でしょう。順張りと言いますが、押し目に買うというのはそれなりの経験者がやることです。中途半端な考えで逆張りをしようとするとたちまち資産を毀損するでしょう。

 

ただ投機というのはゼロサムゲームです。誰かが勝者になりえれば必ずその裏に敗者がいます。投機に参加する人というのは決まって自分はそうならないと勇んでこの戦いの場に踏み込んでいきます。そして勝者になろうと煽る胴元に手数料を確実に取られて夢を散らせていくのが大半です。

 

投機でこれだけ儲けました〜とか、毎月これくらい稼いでいます〜という広告や本のタイトルはいつの世も存在します。実際にそれくらい稼いだ過去があるのでしょうが、その人は運が良いかカモを出し抜く手段を知っている人でしょう。ゼロサムゲームである以上、誰かは勝者になりえます。その人が私はこんな取引で勝ちましたとインタビューに答え、それを読んだ人がなるほど僕もそうしようと考えるわけです。

 

ギャンブルに確実な勝ち方は詐欺でもしない限りありません。また勝つ手法も表に出てしまった時点で勝率は下がります。

 

市況を話して商品の切り替えや買い替えを促す営業員は、消費者にゼロサムゲームの舞台にあげようと誘ってくる胴元です。彼らからすれば顧客が勝とうが負けようがどちらでも良いのです。どちらになったとしてもそれ相応の煽り文句があるのです。

 

投機がしたい人はどんどん売買をすれば良いと思います。私もそういったことをやっていたことがあるのでその怖さも面白さもわかっているつもりです。短期的に儲けたいのならその手段しかありません。ただこのやり方は資産を大きく毀損する可能性が高いと知っているので、人に勧めたくはありません。

 

銀行や証券で取引をされている方は、ご自分がどちらの取引をしたいのかよく考えてから彼らの言葉を聞くようにしていただくことを切に願います。