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地方銀行と証券会社で働く筆者のお金にまつわることを発信するブログです。

日銀はマイナス金利を深掘りするか。

直近の市況では、米国を初めアジア諸国やヨーロッパが去年から一転して金融政策を緩和方向に動き出しております。

 

2018年はずっと利上げを行なっていたこともあり、米国はある程度の利下げ余地を持っています。米国が利下げをするとなると、追随しなければいけないのアジア新興国などの国々。

 

去年までの新興国は、米国の利上げの影響で投資資金が流出し続けていました。例えば世界的に低金利になっていたため、少しでも利回りの確保したい投資家が相対的に金利の高い新興国の債券を運用していたものの、米国債金利が上がってきたことでそちらに切り替えをしていったような感じです。

 

当たり前の話ですが、新興国は色々な懸念要素を孕んでいます。財政的なものもそうですし政策的なものもそうです。国債といえど債務不履行にならないと言い切れないでしょう。投資家はそのリスクを背負って投資をしていたわけですが、世界トップの経済大国の債券が利回りを上げてきたとなれば、そちらに変えてしまった方が少しでも安全だと思いませんか。

 

2018年はそういった動きがあり新興国通貨も下落の一途を辿りました。株式市場が堅調であったとしても通貨の価値が下落していたため、新興国市場に投資する投資信託の基準価額は落ち込んで行きました。

 

それが今年になり一転して米国が利下げ方針に転換したため、資金を流入させやすいように利下げを追随していきました。また、新興国は米ドル建の借金を大量に保有しています。金利が低下することで、借金額が膨らんでしまうんですね。こういったリスクは将来金利が上がった時に債務不履行のリスクを増大せさせてしまう可能性もあります。

 

元を正せば米中の関税問題が発端となっているので、この世界情勢が一定の落ち着きを取り戻すまではしばらく変わらないでしょう。世界的には景気減速懸念とされ利下げが関心を持たれる市況となりそうです。

 

しかし、この流れに追随できないのが日本です。日銀は現在当座預金金利を-0.1%にするマイナス金利を導入していますが、市場金利が下がったことにより地方銀行の融資金利も低下。既に多くの地方銀行が本業でビジネスモデルを成立できていない状態です。

 

これに関しては日銀だけの問題ではなく、地方経済根本的な問題でもあります。今の日本経済は一部を除いて景気はあまり良いとは言えません。先行き見通しも同じです。また地方は高齢化が進みお金を使わない人は多いものの若者や企業は減少傾向にあり、貸し出す先すら減ってきているのが現状です。銀行だけが悪いとか日銀だけが悪いではなく、日本全体の問題なので誰が悪者とも言い難いですが、いずれにせよ地方銀行はすでに瀕死のところもあります。

 

今勤めている銀行も少しずつ支店を減らす方向で動いているようです。人件費も削減しようと考えているならこちらに話を振って欲しいくらいなのですが。

 

それはさておき、このマイナス金利を-0.2%に深掘りする可能性は日銀総裁はずっと前からチラつかせていますが、口先だけの牽制であり実際に実行してはきませんでした。しかし世界に利下げの流れが続く場合、もし追随しないのであれば為替は円高に推移するはずです。円高は輸出企業の業績低下を招くので、大企業で輸出企業が多い日本経済には打撃になり得ます。

 

地方銀行を犠牲にするか、外国為替を犠牲にするかという二択とも言えるこの状況、いずれも時が解決に導いてくれる可能性もなくはないですが、根本的には地方銀行はどのみち斜傾産業ですから改革を促進するためにも利下げしてしまっても構わないと思います。

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