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地方銀行と証券会社で働く筆者のお金にまつわることを発信するブログです。

どうして投資をする必要があるのか。(まとめ)

最近金融庁から発表された老後資金2,000万円不足問題で、ようやく日本の金融問題に気づき始めた人は多いです。政府は2001年あたりから貯蓄から投資へを延々と語り続けていましたが、日本の現状がだんだんと理解され事の重大さが知れ渡り始めてします。

 

まず初めに貯蓄は悪なのか、ということに関しては、これは悪ではないと断言します。貯蓄なくして生活の基礎を築くことは出来ないので、貯蓄を全くしないということは推奨できません。

 

しかし、過度な貯蓄に関しては悪と言えます。貯蓄はあくまでその先の投資を行うための予備費と思った方が良いです。このあたりを少しずつ解説していきたいと思います。

 

日本の家計資産の推移は金融庁日本銀行のレポートで見ることができます。見ていただくとわかるように、アメリカやイギリスの家計資産は長期的に拡大してきているのがわかると思います。1998年から2018年までの推移を見ると、アメリカはこの20年間で家計資産は2.7倍に増えています。イギリスも2.3倍に拡大しています。しかし日本は1.4倍と大きく離されています。

 

何故ここまで格差があるのか。国別の経済情勢にもよるでしょうが、大きな要因として運用益の違いが大きいと見られています。アメリカは2.7倍の内2倍の部分が運用益です。イギリスも2倍の内1.6倍は運用益です。しかし日本の場合は1.2倍しか運用益によるプラスはないとされています。

 

日本人は子供の頃から経済や金融の勉強をされてきませんでした。金融庁のアンケートによると、投資教育を受けたことがないと答えた人が7割で、そのうちの3分の2の人がそもそも知識を身につけたいと思わないそうです。

 

これは前述した経済や金融の知識がないために、そもそもお金に対する認識のレベルが諸外国に比べて絶望的なほどに低いことが原因です。つまりは国も悪いということでしょう。投資はギャンブル、損をするもの、あるいは富裕層にしか必要のないもの、という間違った認識がこの国の投資に対する意識が変わらない理由です。

 

 また、物価やインフレなどの経済観念の差も大きく問題にされています。資産運用に関わる仕事をしていると、色々な方からお金の考え方を聞く機会がありますが、やはり多いのがお金の価値基準を額面で考えている方です。

 

例えば変額保険(保険商品ではあるものの運用先は投資信託であり、運用結果によって返礼させる金銭の額が変わるもの。投信との違いは満期時に額面が割れていても預けた金額だけは最低保証されるものが多い)という商品は、満期時に運用損失が出ていた場合、額面だけは最低保証されるというものが多く、どんなに評価損失を出していても満期時にはとりあえず預けた金額は必ず返ってくるというメリットがあります。

 

例えば変額保険を100万円契約したとします。お金は保険商品専用の投資信託にて世界の株式や債券で運用されます。上がりもすれば下りもするのが相場なので、満期時にもしかしたら大きな何とかショックというものが発生して評価額が大きく毀損したとします。その場合に評価額が80万円まで損していても100万円は返ってくるよ、というものです。

 

これだけ聞くと非常にお得に思いますが、契約は大体10年位が多いです。10年前の物の値段と今の値段を想像してみてください。結構値段が上がっているものが多くないでしょうか。中には家電なんかは安くなっているものもありますが、お菓子や日用品は結構値上がりしています。

 

お金の、物を買う力のことを「購買力」と言います。投資をする大きな理由はこの購買力を保ち、強化することです。100万円という価値そのものは変わりませんが、物の値段が上がっていけば、お金の物を買う力は弱くなります。100万円は100万円の商品を買うことは出来ますが、物の値段が上がって101万円するようになったら、手持ちの100万円では買うことができなくなってしまいます。

 

これは、お金のもつ物を買う力が弱まってしまったからです。物の値段が上がっていく場合、これに対応して購買力を強化しなければいけません。そのためには運用を行い額面を増やすのです。物の値段が1%上がるのであれば、あなたのお金も1%増えなければトントンになりません。

 

この国はこれから超高齢化社会に真っ先に突入します。社会保障費が嵩み国が歳入で工面できなくなっているのです。年金は生活の足しですが、不足分は補わなければいけません。しかし貯金を取り崩すには限界もあります。だからこそ、運用を行うことで少しでも資産を増やしておいて欲しいのです。

 

税金の使い方には無駄が多いと思いますが、とは言え国が国民の面倒を見切れなくなる時は近いうちにくるでしょう。安倍政権になってからは物価を上げてインフレに持っていくということを明言しており、何もしなければ購買力が落ち込んで生活は余計に苦しくなります。高齢化社会は長期的な問題です。だからこそ、今のうちに国民に自助努力で資産を増やす知識をつけて欲しいと望んでいるのです。

 

〜投資をする必要がある理由まとめ〜

◯ 諸外国は投資によって家計資産を増やしているが、日本は投資をしないために家計資産が一向に増えないから

◯ 物の値段が上がっていくような政策を行っているので、投資を行わないとお金の購買力が落ち込んでしまうから

高齢化社会で国は国民の生活資金全ての面倒を見切れなくなるから

 

細かく話すと他にもありますが、大きくまとめてこのような感じでしょうか。このままでは日本は他の先進国にはもちろん、新興国や途上国にさえ追い越されます。東南アジアでは経済教育が盛んであり、今では大半の日本人よりも知識は上でしょう。何も考えなくても生活できた時代は終わりつつあります。このブログではならばどうするかをしつこい位に記事で伝えていければと思っています。

https://www.fsa.go.jp/singi/kakei/siryou/20170203/03.pdf

金融庁資料より

https://www.fsa.go.jp/singi/kakei/siryou/20170203/03.pdf

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190412/03.pdf

金融庁 人生100年時代における資産形成よりhttps://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190412/03.pdf