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地方銀行と証券会社で働く筆者のお金にまつわることを発信するブログです。

投資と投機の違いとは?

日本で株式投資と聞くと、ギャンブルのように語られることが多いですが、これは正確では無いことは色々なところで語られていることだと思います。

 

投機とは機に投じるという言葉からも分かる通り、タイミングを見て資金を投じ、利ざやをとる行為を指します。期間が短期間であろうと長期間に渡ろうと、価格を安い時に買い入れて高くなった時に売ることで得られる価格差の利益を追求する行為は投機と表現されます。

 

かたや、一方では投資は資に投じるという言葉の指すように、資産価値が向上していく対象に先んじて資金を投じ、対象の資産価値が上昇していくことで利益を得る行為を指します。

 

私は基本的に、投資は株式にこそ当てはまる言葉だと思っています。

 

一般的に投資という言葉を用いる場合、大きく分けると債券株式になります。これは何百年前も昔から存在する代表的な投資対象です。

 

債券というものは、簡単に説明するとお金を貸してくれた人に交付する有価証券(それ自体に資産価値を有する紙ぺら)です。お金を必要とする発行者が、お金を貸してくれたらその代わり、借りている期間に利息を支払いますよという契約を証券化したものです。

 

国がお金を工面するために発行するものを国債、会社がお金を工面するために発行するものを社債と言い表します。要するに債券とはお金を借りている証明書のようなものなのですね。

 

このことからも分かるように、債券には、金利以上にお金を増やす力はありません。その債券の金利が年利2%だとするならば、毎年2%以上の利回りを出す期待はできないわけです。投機を考えたとき、債券にも値段はついているので売買ができます。株式のように安く買って高く売ればそれでも利益を得ることはできます。

 

ただ基本的な商品生としては金利がメインなので、高いリターンを求めることはできません。その代わり、毎日債券の値段は大きく変動するわけでは無いので、値動きは比較的穏やかなのでリスクは相対的に小さいと判断されます。

 

一方で、株式には明確な値段はありません。日々証券取引所で頻繁に売り買いが行われ、その時々の値段は付いていますが、非常に変動的で、その値段が正しいとは限りません。その会社が大きく成長しそうであればたくさん買われることもありますし、将来的にダメになりそいうと思われればたくさん売られて価格が下落します。

 

本質的な価値を誰も判断しきれず、それゆえに価格が一定に定まることはありませんが、ですが長期的に見ると、株式の価格というものはその会社の成長度に応じて上がったり下がったりしています。

 

これはつまり、株式という有価証券は、自らの力で資産価値を高めて行ける能力を有しているということになります。特に何もしないでも価値が上がっていく資産というのは、証券投資の世界では株式くらいでは無いでしょうか。

 

債券にしろ金にしろ通貨にしろですが、これらの商品の値段は需給によって変動します。ですので状況によっては安く買って高く売るということも可能ではありますが、あくまで需給に夜価格変動であって、資産価値が自ら上がったわけではありません。

 

ギャンブルはゼロサムゲームです。場にみんなで出し合ったお金を取り合うのがこのゲームのルールです。どの資産も資産価値は変わらなければ、取り合いをしたところで全体の資産価値は変わらないですよね。胴元が手数料をピンはねすることで初めの全体の総資産が減っていくので実際はマイナスサムゲームですけれど。

 

でも、株式においては、その会社の業績や財務が良くなることで、株式の価格も追随していきます。つまり場に出ている資産が各自で価値を高めていくので、最初の場の全体の総資産よりも増えていくのです。これをプラスサムゲームと呼びます。

 

投資というのは、資産価値を高めるくれる対象に資金を投じることです。そこには業績の読み間違いや誤判断などが働き、思ったよりも企業が成長しなかった場合利益を得られないとか逆に損失を被ってしまうということがあるため、そういう意味でのギャンブル性は確かにありますが、世間の流行や根拠のない妄言を信じずしっかりと成長し続ける企業に投資をすればそうそう大きな損失を被ることはないと言えます。

 

はなから利ざや目的でものを買うのと、何年後かの将来に資産価値が増えていると期待してものを買うのとでは意味合いが大きく違います。例えばアップルやマイクロソフトが将来もしっかりと利益を出し続ける限り株価は紆余曲折を経ながら上昇していくはずです。

 

これはどちらが良いかという話ではありません。投機はギャンブルだから悪だと考える人もいますが、短期売買も市場においては必要です。もし市場の参加者全員が株式を買って死ぬまで保有し続けていれば、流動性は失われます。買いたい時に買えないし、売りたいときに売れなくなります。

 

それに運が良ければ投機の方が加速度的に資産が増えていくこともあります。短期であれ長期であれ、資産価値を増やしている限りその方法を否定できないでしょう。ですので、株式を買い付ける際にはどんな方法で資産を増やしたいかを考えてからどの銘柄を買うかを考えた方がいいと思います。