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地方銀行と証券会社で働く筆者のお金にまつわることを発信するブログです。

三菱JFJ銀行で口座管理手数料をかける検討に入ったニュースについて。

三菱UFJ銀行は、今後新規口座開設顧客に対し、二年間稼働がなかった場合に年間1,200円の手数料を徴収する検討に入った、と日経新聞のニュースに出ています。本日はこの話題について。

 

収益源であり、国債を購入する資金でもある預金は、お金を集める関係上管理手数料をとることは今までしてきませんでした。しかし、銀行業界全体が苦境に陥り、収益が見込めなくなってきたことから採算に合わない店舗や人員を整理したり各種手数料を値上げしたりしています。

 

この業界は古い体質で、右に倣えを体現した業界です。大手がやれば他の銀行も間違いなく追随していきます。メガバンクが手数料を取るようになればうちらも取れるだろうという浅はかすぎる無能な経営陣の判断で一斉に手数料を取るようになるでしょう。

 

現時点では未稼働口座に限りますが、それらが整理されてくればゆくゆくは全体的に管理手数料が取られることになるでしょう。フィンテックが盛んになっているグローバルの流れに歯向かう企業はやがて近い将来淘汰されます。今の銀行業界も体力のないところから消えていくでしょう。

 

そもそも特に小さい地方銀行のレベルは低いです。とりわけ第二地方銀行あたりは馬鹿のようなレベルで、従業員からも自分の勤務会社の先行きを不安視しやめていく若者も多いです。

 

今、定期預金の金利は0.01%で、普通預金は0.001%というあってないような金利になっています。ここまで金利を一番最初に下げたのは三井住友銀行でした。目的は預金抑制です。

 

銀行は、顧客から預かったお金を国債や日銀の当座預金に預けたり、融資資金に回したりして収益を稼いでいました。しかし直近の市況では債券の利回りはなくなり、日銀の当座預金はマイナスになり、お金を借りたい優良企業がなかなか見つからない状態です。そのため、預金金利を支払う負担が増してしまうため、金利をいっぱいまで下げて利息を支払う負担を減らしたのです。

 

つまり、銀行としてはこれ以上お金を預金してもらっても困る状態なのです。これはどこの銀行でも同じです。

 

であるならば、普通に考えて銀行は積極的に預金を集めたりはしないのです。昔ではないのですから、むしろコストが増えるだけです。最近の銀行の投資先には地方債まで手を伸ばしていますが、地方債だって利回りはほぼほないようなレベルまで下がってきています。微々たる利回りを求めるだけでは今後のフィンテックの攻勢はまず勝てません。

 

にも関わらず、馬鹿な地方銀行ではいまだにキャンペーンで定期預金を集めたりしています。特別金利になるならまだしも、通常の金利で、抽選で何かがもらえる程度のゴミのようなキャンペーンです。預金抑制をしつつ預金を集めるという意味不明な状態になっているのです。

 

紙通帳が有料発行になるのも時間の問題です。通帳は年200円の印紙税を払う負担がありますし、そもそもスマートフォンで残高管理できる時代に紙ベースの通帳の需要が低下していることでコストとみなされています。

 

記事によれば両替手数料や振込手数料も値上げをする可能性が高いようです。この送金手数料が格段に安くなっていくご時世に、逆のことをしているという不思議さ。口座を作るのは有料、紙通帳も有料、再発行ももちろん有料、振込手数料は異常に高く、他県にいったらそもそも不便で使えたものではない。こんな会社のサービスを誰が好き好んで使うのか。

 

銀行の頭取というのは基本的にサラリーマン経営者です。大半は自分の代だけでも無事に任期を終えようと考えている経営陣ばかりです。現場のこともろくすっぽ知らず、理想論を掲げている割に具体性のないことを平然と言います。現場にいると本当によく地方銀行のレベルの低さを実感します。

 

つらづらと書いてしまいさしたが、自分たちの不採算性を顧客に転化する企業には、やがて顧客も離れていくでしょう、昔と違い、今はインターネットを利用すれば世界中のあらゆる情報が手に入ります、新聞やテレビしかなかった時代は終わっています。視野を広く見渡せば簡単により良いサービスを提供している会社なんて見つかります。

 

私は日本の銀行株は絶対に人には勧めません。投機・投資に関係なく、この業界に明るい未来はないからです。日銀の政策のせいにする銀行がほとんどです。金利が上がれば業績は回復すると心から信じている姿を見て呆れてものも言えません。今後人口も減っていきます。それだけで地方銀行は土台が崩れていくのです。メガバンクだって今までのようにはいきません。各社生き残りをかけて色々やっていますが、根本的にこの業界は顧客目線ではありません。その時点でずれているのです。

 

自分の勤めている会社の細かいことまで言ってしまうと怖いので、それは会社を辞めてフリーになったら書こうと思います。ただ、できる限りの情報発信はしたく、無駄に銀行に手数料を取られないようにしてください。

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お金をめぐる冒険

これは、私がお金に関する今までの学びを得ていく経過を記録したものであり、主に自分が読み返して知識を整理するために書く記事になります。それなので、他の方が読んでも面白くないかもしれません。ただ、色々な本などのエッセンスをまとめているため、マネーに関する自己啓発系の書籍を買わずして著者の方々の主張を知ることが出来ると思います(前編は自分の経緯で、後編にその辺りの話を書きます)。

 

私がその昔最初に株式に手を出した理由は、可及的速やかにお金を増やしたかったからでした。別に借金があるとか止むを得ず手を出さざるを得なかったわけではありません。単純にお金がもっとあれば色々なものが買えるし、色々なところに行けるし、不自由なく生きていけると思ったからです。

 

何の知識もないまま証券会社の口座を開き、初めてで怖かったのでまずは手始めに10万円くらいで始めようと思い、入金し、とある東証一部の株式をとりあえず買えるだけ買いました。

 

その時、その株式は頻繁に売り買いされており、損益がリアルタイムで増えたり減ったりしていました。私は自分のお金が簡単に増減するその姿を見て怖くなり、すぐに売却しました。

 

その結果、評価益で1,600円だったと思います。たった10分くらいの出来事でした。たったの10分で1,600円儲かったのです。1円パチンコでは10分でこれだけ儲けることは不可能でしょう。何も苦労せず、ただ買いと売りのボタンを入力するだけでこれだけ増えたのです。

 

1,600円あれば何が出来るでしょうか。それだけで1日の食事代を賄うことも可能です。それくらいのお金が入ったのです。これは感動ものでした。

 

しかし、その後やってはいけないことをしでかします。これは初心者によくあるパターンなので真似しないでいただきたいのですが、10万円で1,600円儲かるなら、100万円だったら16,000円だったじゃないか、と考えたのです。これは身を滅ぼす考え方なので絶対に同じようなことを考えないでください、私の二の舞になりかねません。

 

ビギナーズラックでしかないにもかかわらず、私は次第に多くの資金を注ぎ込んで売買を重ねるようになります。掲示板の話題から銘柄を選んで売買したりもしました。ストップ高になりそうな銘柄を買ったりしました。一回の取引にかけるお金も大きくなり、損失をするとそれを取り戻そうとさらに大きな資金を一回の取引で使い、相場が軟調になると怖くなって損切りするという悪循環が続き、最終的には投資資金が半値になってしまいました。

 

その当時は全体の相場は上げ相場で、普通にそれなりの株式を買って保っていれば普通に利益を出せるような相場だったにもかかわらず、私はお金を半分失ってしまいました。これはまずい、このままではお金が無くなってしまう。普通ならそこで止めるようなものなのでしょうが、私はもっと勉強しなければと思うようになりました。

 

 やがて経済の勉強に及び、現代ポートフォリオ購買力平価から見る為替の役割など、色々学んだ後、最も無難な投資は世界に幅広く分散する株式インデックスファンドを長期保有すること、に至りました。

 

個々の国々はGDP成長率も違いますし政治経済の違いにより、どこかの国は良くてもどこかの国は悪いう感じで、しかもそれは時期によってどの国が良い悪いは変わっていくのです。しかし、世界全体で見ればおおよそ3%程度の緩やかな経済成長を行っていると統計が出ています。それなら、いろいろ考えなくても世界全体に分散投資をして仕舞えば良いという判断ができるわけです。

 

 投資の指針としているウォーレン・バフェット氏も素人でも大半のプロに勝てる投資法として、手数料の極力かからないS&P500のインデックスファンドに定期的に積み立てて投資し続ければ良いといった話をされています。私はつみたてNISAでこの投資を実践しています。

 

 最も無難な方法は分かった。でもそれはあくまで老後の資金とかそういったものを形成するための方法であり、今使えるお金を増やすためのものではない。私は今使えるお金が欲しいんだ、そう思いトレードの手法を勉強しました。いわゆる順張り(あがって入る時に買い、上がってるうちは保有し、下がりそうなら売る)をしてそれなりに利益は出ましたが、その期間私より利回りの良かった日本株式ファンドがあり、こっちに預けっぱなしにしていればもっと儲かったではないかと悔しんだものです。

 

 頻繁に相場を見て、株価やチャートの流れを調べて、企業の表面的な分析をして売り買いしても、手数料や税金で利益は持っていかれ、失敗すれば利益はあっという間に失います。手法もそうですが、このやり方は最も心理的要因に結果が左右されます。少しでも相場に心が負ければあっという間にお金は減っていきます。こういうやりかたは向かないな、とその時思いました。

 

その後、ウォーレン・バフェット氏に関する書物を色々読み、株式の分析や捉え方を学び、現在の考えに落ち着きました。 

 

投資の仕方は定まりましたが、そもそもどうしてお金が欲しかったのだろうかと思い直すようになりました。それからというもの、投資手法からお金とは何か、を考えるようになり、それは人生とは何かと繋がる命題なんだと分かるようになりました。

 

その後も色々な方の本を読みました。特に影響されたのはスティーブ・ジョブズホセ・ムヒカ元大統領、ウォーレン・バフェット堀江貴文氏、本田健氏などです。それ以外の書物からも色々な学びを得ました。

 

長くなったので続きは後編に分けさせていただきます。

 

海外の金利で資産を増やしましょうという金融商品にはご注意を!

当ブログでは、海外の金利で資産を増やしましょうという煽り文句の金融商品や勧誘行為に関して注意喚起をしています。

 

銀行で言えば外貨建て保険ですし、証券会社で言えば外貨建て債券です。これらの商品には本質的に商品として問題があるものがあるので、その辺りで失敗しないための方法の一つをご案内します。

 

インフレ率、という言葉をご存知でしょうか。簡単に説明すると、去年よりもどれだけ物価が上がったかをパーセントで表す指数です。

 

外国為替レート、という言葉をご存知でしょうか。二国間の通貨を交換する際の交換レートのことを差します。外国為替系の金融商品を購入する際にはこれらを理解しなければいけません。表面に書かれている金利だけで良し悪しを判断してはいけません。

 

まず結論から書きますが、「インフレ率の低い国の通貨は上昇する」です。

 

ここで思考実験です。とあるメーカーの車が、日本では100万円で販売されていたとします。ここで日本のインフレ率は0%ということにします。ちなみに最近の日本は約1%です。ここでは話をわかりやすくするためにこう定義します。

 

そして、同じ車をアメリカでも1万ドルで販売します。ちなみにインドのインフレ率は5%とします。これは30年前のアメリカのインフレ率で、今は2%前後です。

 

ちなみに当時の為替レートは1ドル=100円です。また日本とアメリカのインフレ率は5年間変わらないものとします。

 

インフレ率は、去年よりも物価がどれだけ上がったかということなので、日本の車は5年後経ってもインフレ率がかわらないので100万円になります。

 

そしてアメリカでは最初は同じで販売されていた車が、毎年5%のインフレ率を保った場合約130万円になってくる訳です。5年前は100万円で買えていた商品が130万円、物凄い値上がりですね。

 

こうなると、車のメーカーとしては、日本で製造してアメリカで販売した方が利益が多くなる訳です。簡単に儲かりますね、いいビジネスです。しかし、そうは問屋が卸しません。これは圧倒的に不公平な状態です。この不均衡な状態を調整するのが外国為替です。

 

ちなみに、このままでは不平等なのでどうするのか。答えは単純に、為替レートで相殺するのです。つまり1ドル=77円にすれば均衡することになる訳です。

 

これは言い換えればインフレ率の高い国の通貨は下落する、ということです。先ほどと同じ意味ですね、すみません。しかし大事なことなので二回書きました。

 

インドやトルコ、ブラジル、インドネシアなどの新興国の通貨は金利が高いです。インフレ率が高いので当然と言えば当然です。金融機関の営業員は次のような言い方で営業をします。「日本円では金利が低いので、金利の高い国の通貨で運用して高金利を享受しましょう」と。

 

上記の市場調整機能(裁定と言います)はすぐには発生しません。長い時間の中でゆっくり調整されていきます。3年くらいであれば、購入のタイミングにもよりますが高金利のメリットを享受できないとも限りません。しかし残念ながらここにも罠が。手数料を忘れてはいけません。新興国通貨の為替手数料は結構エグいものです。平気で3%後半の手数料を為替レートに上乗せしてきます。

 

そうなると、思ったほどの利益は取れない可能性が高いのです。表面的には5%近い金利の債券が多く出回っているインド債券も、最終的に満期償還されて円に戻ってきたときに果たしてどれだけ利益が出ているでしょうか、残念ながらそこまで期待したものではないどころか、タイミングによっては損失を被っている可能性も普通にあります

ecodb.net

*世界経済のネタ帳様より

為替レートを見ていただければ、長期的には円高ルピー安になっているのがお分かりかと思います。これを見て今が下限だ!と思えるでしょうか。そうではありません。インドが日本よりもインフレ率が高い限りルピーは円に対して下がり続けます。

 

ちなみに経済知識に乏しい銀行営業マンではここまでそもそも考えない人もいますが、証券会社の人間は大方理解しています。理解した上で販売されるので悪質ですが、債券は顧客の資金が長期固定化されやすいので好んで提案はあまりされない傾向にはあります。

 

いずれにせよ、外貨で高金利を目当てに金融商品を買い付ける場合は、この日本と相手国のインフレ率の違いを意識してみてください。短中期であれば、利益を出せる可能性は未だあります。2016年の夏頃に買い付け、2018年の夏頃に償還すれば利益を出して追われるでしょう。しかしそれ以外のタイミングではあまり利益が取れないどころか為替差損でマイナスになる可能性もある訳です。

 

表面的な金利の高さに惑わされず、しっかりとした知識をおつけになって金融商品を購入するようにしてください。

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マネーゲームに巻き込まれないで下さい。

マネーゲームという言葉をご存知でしょうか。資産運用の世界やスポーツ業界で使われる言葉です。スポーツ業界では選手を獲得するために契約金や年棒で競い合うことをさします。資産運用の世界では投機のことを主に指します。これは簡単に表現すれば「どれだけお金を掴めるかの競争」です。

 

当ブログでは、お金という、世界中に散りばめられる資産の奪い合いを広義でのマネーゲームと定めます。例えば日本円という通貨があります。通貨の量には限りがあり、資本主義の元、人々はこの通貨を競って集めようとしています。

 

他社よりも多くのお金を保有したいという欲求は、その人の生活を狂わせ、気分を落ち込ませ、ストレスの激しい人生に陥れさせるものです。誰しもが身に覚えがあることだと思います。同僚や友人の方がお金を多く持っていると、自分は負けていると感じ、もっとお金を持つことができれば幸せになれると考えます。

 

自分は国産の安い乗用車なのに、隣の家はメルセデスベンツBMWジャガーアウディに乗っているのを見ると、自分は隣の家の人よりも劣っていると感じます。もっとお金を稼いでいつか隣に人に勝ってやると、途方もない競争心を抱くのです。

 

人はどれだけの物を保有しても満足しない生き物です。物を多く持つことの不都合さは今後も色々と記事にして書いていきますが、物欲は際限がありません。何か買えばまた別のものが欲しくなるのです。

 

何故働いているのか、生きるためです。とてもシンプルな話ですが、苦労して稼いだお金で買っているものは果たしてどれも生きていくために必要なものでしょうか。本当は必要ないのに見栄で買ってしまったものはないでしょうか。そして、今度は買った物を管理するのにまたお金が必要になったりします。

 

物を買い、お金が減る、だからまた働く。この繰り返しです。永遠と続いていく負の連鎖です。やがて普通に働くだけでは自分の欲しいものが全ては手に入らないことを知り、人はマネーゲームに手を出していくのです。

 

可及的速やかに自分のお金を増やしたい。誰しもが思うことです。もっとお金があれば高級なフレンチやイタリアンを気兼ねなく食べられる。お高い羽毛布団とベットに包まれて眠れる。美しいブランドの服やカッコいい車に乗れる。

 

頑張ってお金を稼ぎ、これらのうち何かを手にしたとき、再度お金はなくなります。そうしたらまた働かなければいけません。やりたい訳でもないし好きな仕事でもないけど、生きていくためには仕方がないと、自分の命を切り売りして些細なお金とストレスを手に入れる訳です。

 

残念ながら、マネーゲームでは幸せにはなれません。投機というものは、場にあるお金の奪い合いです。お金の総量は常に変わりません。ただ所有者が変わるだけです。誰かが勝てば必ず誰かが負けます。そして、株式市場では情報も知識もない個人がいくら短期売買をしても、よほどの才能がない限り勝ち続けられません。

 

投機に誘う広告は数多いです。「私はこの方法で資産を10倍にしました」とか「ローリスクで利回り15%」とか、あたかも誰にでもそれくらい稼げるようになると人の物欲を刺激します。理論的には可能かもしれませんが、言うは易し行うは難しです。

 

証券会社に勤めていると、大半のお客さんは投機を好むのが分かります。証券売買を投資の観点で考えている方は非常に稀です。今はどの株を買えば儲かるのかという話ばかりして、企業の経営状態など気にも留めていません。根拠のない売買に強固な意思はないので、相場が不安定になると途端に投げ売りしたくなります。結果として損をします。

 

私も昔は欲に駆られた売買を行い大損したことがあります。だからできるだけ短い期間で利益を拡大させたい人の気持ちはわかりますが、残念ながらお金を大きく増やして終われるのはほんの一握りの人だけです。

 

お金の勉強をしていると、そもそもお金をたくさん保有することでどれだけ幸せになれるのかという問題にぶち当たることになります。今多大なリスクを犯して投機に走っている方々には是非この問いかけを考えていただきたいと思います。

 

マネーゲームはお金の奪い合いです。リスクをとっても果たして人生を大きく変えるほどのお金が簡単に手に入るでしょうか。そもそも、人生を大きく変えるくらいのお金はいくらくらいでしょうか。100万円ではほとんど何も変わりません。1000万円あればそれなりの車は買えるでしょう。5000万円あればマンションや家が買えるかもしれません。

 

だからどうなのでしょうか。お高い車は税金もランニングコストも高いです。家やマンションを買えば固定資産税を毎年払い続ける必要が出てくるでしょう。いずれにせよさらなるお金が必要になるだけです。そしてまたやりたくもない仕事をするのでしょうか。

 

証券投資は、確かに損失を被る可能性がある資産です。しかし、ちゃんとした銘柄を選べば長期間に資産価値を上げてくれる味方になるはずです。欲しいと思っている物は、本当に生きていくために必要でしょうか。他人よりも優位に立ちたいだけの競争心はいずれ身を滅ぼしかねません。

 

簡単にお金を設ける方法は少なくとも真っ当なやり方では存在しないです。ご自身に必要なお金はどれくらいなのか、それをよく考えて資産運用をした方が良いと思います。

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株式、投信の販売手数料ゼロへの流れについて。

投資信託の購入手数料無料、いわゆるノーロード投信が生まれてからもう6年以上になりますが、最近はそこに新たに個別株式も手数料無料にする流れができています。

 

そもそもは1999年の手数料自由化の中で、余計な店舗や営業員を配置しないことでコストが抑えられるネット証券が主導して手数料を引き下げて行きました。現在の株式や投信のコスト差は、対面証券とネット証券では恐ろしいほどの開きがあります。

 

例えば自分が勤務している対面証券会社と大手ネット証券である楽天証券の基本的な手数料コースを選択した場合、個別日本株式を100万円分決済した際にかかる手数料はなんと楽天証券約22倍になります。

 

大手の手数料を比較してみましょう。

日本株式を対面取引とネット取引で100万円購入したさいの手数料は以下の通りになります。

 

野村証券

・対面取引・・・12,188円

・ネット取引・・・1,048円(ネット専用支店)

大和証券

・対面取引・・・12,650円

・ネット取引・・・9,482円

みずほ証券

・対面取引・・・11,550円

・ネット取引・・・3,465円

SBI証券 and 楽天証券

・ネット取引・・・535円

(*2019年12月1日時点)

 

この数字を見てもらえれば明らかですが、対面取引の手数料はネット取引と比べて明らかに割高すぎるものです。芸術品や工業製品を買うわけではなく、株式です。どこで買っても全く同じものです。それが、買い方が違うだけでここまでの差が出るわけです。これは全くもって恐ろしい話です。

 

こんなビジネスがしばらくまかり通っているのは、対象となる顧客が高齢者だからです。一概に高齢者と言ってもそれぞれですが、往々にしてネット知識が若い人と比べて欠けています。ですのでネット取引の方が手数料が安いと知っていても自分ではできないからと慣れている方で取引してしまっています。

 

また、営業員がついた方が専門的なアドバイスを受けられると考えておられる方が多いです。これに関してはご自身の売買記録を見直してみればそんなことは考えられなくなる方が過半数だとは思いますが、情報提供できるのが対面の売りだと訴える証券会社がほとんどです。

 

フィンテック企業が金融サービスに参入することで、大幅にコストを下げた取引ができる仕組みができてきました。海外の若い金融機関では取引手数料で稼ぐのではなくアドバイザー料で手数料を払ってもらう代わりに売買手数料はかからないとか別の手数料収入をメインに切り替えてきています。

 

今はまだ資金を豊富に持つのが高齢者なので、この異常とも言える手数料の差があるにもかかわらず、対面取引を主とする証券会社はしばらくは生きていけるでしょう。しかしすでに今のミレニアル世代である20〜30代の若者はこれらの情報を知っているものがほとんどであり、彼らは対面証券で取引はしないでしょう。高齢者の相続金はやがては若い人たちに渡ります。その時に、彼らが対面営業の取引に応じるとは思えません。

 

ネット取引もできる、だけでは店舗も人員もいるわけで、ネット専業にはどうしたってコストで勝てるわけがありません。今の証券会社の営業マンのほとんどは手数料を取るために仕事をしている連中です。顧客の利益には対して関心はありません。こう言った人たちがどれだけの信頼を築けるかは甚だ懐疑です。

 

断言できますが、対面証券を中心に営業している証券会社は近い将来合併なり何なりで体力のないところから消えて無くなっていくでしょう。根本的にビジネスモデルを見直さない限り証券会社に未来はありません。将来性を感じなくなった人からどんどん辞めていっているのが現状の証券業界です。昔と違うので頭ごなしにやれやれしろしろと怒鳴るだけでついていく若者はいません。

 

私は極力お客さんに迷惑をかけないように、基本的に回転売買で稼ぐようなやり方はできる限り避けています。そうしないと稼げないくらいなら辞めた方が良いし、そうしなければ生きていけない会社なら潰れてしまった方が良いとも思っています。別に来たくて来た会社でもないですし。

 

とにかくですね、これを読まれている方には証券会社の口車には簡単に騙されず、しっかりと判断して取引をしていただくよう願います。中には優しい営業員も少なからずいますが、そう言った方は仕事の理不尽さに耐えられず早期に辞められやすいです。

 

手数料を気にしないというのは投資家としてはアウトです。コストカットは経営においても投資にとっても一番最初に取り組むべき課題です。無駄な手数料を払わずに投資を行ってください。

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何故長期的に証券投資をするなら株式が良いのか。

証券投資を行う際には、当ブログとしては株式を重要視しています。その理由を簡単に説明してみたいと思います。

 

証券投資をする際に、一般的に通常の個人が容易に購入できるものを大きく分類すると「株式」「債券」「投資信託」「コモディティ」に分けられるかなと思います。これらはいずれも証券会社にて扱っている商品群です。一部は銀行でも扱っていますが、銀行で扱っているものは手数料重視の商品が多いためよく検討する必要があります。

 

「株式」というのは、会社が資金集めを行い際に発行される証券です。会社を立ち上げる際や増資を行う際に発券されて、株式を購入した人は株主と呼ばれ、該当の会社に対して有限責任(投資をしている範囲内の責任を負う)を負う代わりに色々なメリットを享受できます。

 

「債券」は国や自治体、企業などが資金を工面するために発行する証券ですが、株式と違うのはあくまで企業に貸すのであって、発行体(債券を発行する国や自治体や企業のこと)は返済する義務を追っているということです。期間を決めてお金を貸すことになり、貸している間は金利を受け取り、満期がくれば全額返済してもらうことになります。発行体が債務不履行に陥らない限りお金は返してくれるので相対的にリスクは低いことになります。

 

投資信託」は多数の投資家から資金を集め、そのお金を運用機関が色々な投資先にまわし、その運用成果を投資家に分配する金融商品です。株式に投資をすることができる株式投資信託、株式には投資できない公社債投資信託、不動産の賃料収入の権利を証券化した証券にに投資する不動産投資信託(REIT)、東証に上場し取引時間中はいつでも売買できる上場投資信託(ETF)などがあります。

 

コモディティ」はいわゆる商品のことであり、石油、金銀プラチナのような金属、大豆やとうもろこしといったものに投資をする商品のことを指します。

 

この中で、長期的に投資をする際には株式が一番という点ですが、これは確定された資産的価値を持たないことがまず挙げられます。難しい言い方をしましたが、要するに決まった値段がないということです。投資の世界ではリスクのことは値動きの幅(変動性)を指しますが、このブログでは本来の意味での「損失を被る危険性」として説明します。

 

無リスク資産と呼ばれるものがあります。国債が代表的なものですが、ほぼほぼ確実に元本が保証された資産のことを指します。日本国民としては、日本国債債務不履行になるということはある意味日本の終わりを示すのに近いので国債は無リスク資産と捉えて相違ないでしょう。

 

リスクのある商品を運用する場合、それ以上の利益を期待するわけです。これをリスクプレミアムと呼びます。債券の場合は国債はリスクがないけど、一般法人が発行する債券は国債よりは債務不履行になる可能性が高いので、その分利回りの上乗せを期待するわけですが、こういったもののことを指します。

 

これが株式や商品、投資信託といったものはさらに危険性は高まるので、それ相応のプレミアムを期待されるため、利回りが向上するのです。

 

コモディティ」をお勧めしないのは、これらは受給によってのみ価格が変動するからです。売りたい人と買いたい人の差が価格を決定する要因であるので、コモディティそのものが時間とともに資産価値を自動的に向上させるものではありません。どれだけ長期間保有していても受給以上の価格高騰は期待できないのです。

 

「債券」はあくまで資金を貸し、その間に利息を払ってもらうものであり、基本的にそれ以上の利益は得られません。ただ債券にも価格があり、満期までの間は日々受給や金利などの影響で上下します。新発で発行される場合、債券は100円で発行され、償還時には100円で償還されます。その間は価格が変動するので例えば95円(アンダーパー)で買って満期まで保有していれば償還時には価格差のメリットも享受できることになります。債券は発行体が債務不履行を起こさない限り償還時に全額返済されるため、相対的に安全性の高い金融商品です。

 

「株式」も勿論東京証券取引所にて日夜売買が行われているので、受給によって価格の変動は起きます。しかしこれらが債券やコモディティと違うのは、この資産は自らで自身の価値を向上させる力を持っているということです。

 

株価というものは、受給によって価格変動は時に大きくおきたりしますが、最終的にはその会社の成長に収歛していきます。つまり会社がしっかりと利益をあげ、収益を稼いで会社を成長させていけば、最終的に株価も連れ立って騰がっていくのです。つまり、長期間保有していてれば、会社が成長し続ける限り株価も少しずつ上昇して利益を得られるのです。

 

勿論、そのためには長期に渡り企業が業績を上げ続けられる会社にのみ投資をしなければいけません。そういった分析をするのが難しい場合は株式投資信託などを使ってリスク分散しながら長期運用するのが無難です。

 

但し投資信託は基本的にインデックスファンドを選びましょう。日本には6000本近い投資信託がありますが、その大半は金融機関がいかに手数料を取れるかを重視した商品ばかりです。運用の成績にかかわらず毎年2%近い手数料を差っ引くファンドはたくさんあります。投資信託を買う際には、その辺りに気をつけてください。

 

以上が、債券でもコモディティでもなく株式を選んだ方が良い理由です。

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どうして投資をする必要があるのか。(まとめ)

最近金融庁から発表された老後資金2,000万円不足問題で、ようやく日本の金融問題に気づき始めた人は多いです。政府は2001年あたりから貯蓄から投資へを延々と語り続けていましたが、日本の現状がだんだんと理解され事の重大さが知れ渡り始めてします。

 

まず初めに貯蓄は悪なのか、ということに関しては、これは悪ではないと断言します。貯蓄なくして生活の基礎を築くことは出来ないので、貯蓄を全くしないということは推奨できません。

 

しかし、過度な貯蓄に関しては悪と言えます。貯蓄はあくまでその先の投資を行うための予備費と思った方が良いです。このあたりを少しずつ解説していきたいと思います。

 

日本の家計資産の推移は金融庁日本銀行のレポートで見ることができます。見ていただくとわかるように、アメリカやイギリスの家計資産は長期的に拡大してきているのがわかると思います。1998年から2018年までの推移を見ると、アメリカはこの20年間で家計資産は2.7倍に増えています。イギリスも2.3倍に拡大しています。しかし日本は1.4倍と大きく離されています。

 

何故ここまで格差があるのか。国別の経済情勢にもよるでしょうが、大きな要因として運用益の違いが大きいと見られています。アメリカは2.7倍の内2倍の部分が運用益です。イギリスも2倍の内1.6倍は運用益です。しかし日本の場合は1.2倍しか運用益によるプラスはないとされています。

 

日本人は子供の頃から経済や金融の勉強をされてきませんでした。金融庁のアンケートによると、投資教育を受けたことがないと答えた人が7割で、そのうちの3分の2の人がそもそも知識を身につけたいと思わないそうです。

 

これは前述した経済や金融の知識がないために、そもそもお金に対する認識のレベルが諸外国に比べて絶望的なほどに低いことが原因です。つまりは国も悪いということでしょう。投資はギャンブル、損をするもの、あるいは富裕層にしか必要のないもの、という間違った認識がこの国の投資に対する意識が変わらない理由です。

 

 また、物価やインフレなどの経済観念の差も大きく問題にされています。資産運用に関わる仕事をしていると、色々な方からお金の考え方を聞く機会がありますが、やはり多いのがお金の価値基準を額面で考えている方です。

 

例えば変額保険(保険商品ではあるものの運用先は投資信託であり、運用結果によって返礼させる金銭の額が変わるもの。投信との違いは満期時に額面が割れていても預けた金額だけは最低保証されるものが多い)という商品は、満期時に運用損失が出ていた場合、額面だけは最低保証されるというものが多く、どんなに評価損失を出していても満期時にはとりあえず預けた金額は必ず返ってくるというメリットがあります。

 

例えば変額保険を100万円契約したとします。お金は保険商品専用の投資信託にて世界の株式や債券で運用されます。上がりもすれば下りもするのが相場なので、満期時にもしかしたら大きな何とかショックというものが発生して評価額が大きく毀損したとします。その場合に評価額が80万円まで損していても100万円は返ってくるよ、というものです。

 

これだけ聞くと非常にお得に思いますが、契約は大体10年位が多いです。10年前の物の値段と今の値段を想像してみてください。結構値段が上がっているものが多くないでしょうか。中には家電なんかは安くなっているものもありますが、お菓子や日用品は結構値上がりしています。

 

お金の、物を買う力のことを「購買力」と言います。投資をする大きな理由はこの購買力を保ち、強化することです。100万円という価値そのものは変わりませんが、物の値段が上がっていけば、お金の物を買う力は弱くなります。100万円は100万円の商品を買うことは出来ますが、物の値段が上がって101万円するようになったら、手持ちの100万円では買うことができなくなってしまいます。

 

これは、お金のもつ物を買う力が弱まってしまったからです。物の値段が上がっていく場合、これに対応して購買力を強化しなければいけません。そのためには運用を行い額面を増やすのです。物の値段が1%上がるのであれば、あなたのお金も1%増えなければトントンになりません。

 

この国はこれから超高齢化社会に真っ先に突入します。社会保障費が嵩み国が歳入で工面できなくなっているのです。年金は生活の足しですが、不足分は補わなければいけません。しかし貯金を取り崩すには限界もあります。だからこそ、運用を行うことで少しでも資産を増やしておいて欲しいのです。

 

税金の使い方には無駄が多いと思いますが、とは言え国が国民の面倒を見切れなくなる時は近いうちにくるでしょう。安倍政権になってからは物価を上げてインフレに持っていくということを明言しており、何もしなければ購買力が落ち込んで生活は余計に苦しくなります。高齢化社会は長期的な問題です。だからこそ、今のうちに国民に自助努力で資産を増やす知識をつけて欲しいと望んでいるのです。

 

〜投資をする必要がある理由まとめ〜

◯ 諸外国は投資によって家計資産を増やしているが、日本は投資をしないために家計資産が一向に増えないから

◯ 物の値段が上がっていくような政策を行っているので、投資を行わないとお金の購買力が落ち込んでしまうから

高齢化社会で国は国民の生活資金全ての面倒を見切れなくなるから

 

細かく話すと他にもありますが、大きくまとめてこのような感じでしょうか。このままでは日本は他の先進国にはもちろん、新興国や途上国にさえ追い越されます。東南アジアでは経済教育が盛んであり、今では大半の日本人よりも知識は上でしょう。何も考えなくても生活できた時代は終わりつつあります。このブログではならばどうするかをしつこい位に記事で伝えていければと思っています。

https://www.fsa.go.jp/singi/kakei/siryou/20170203/03.pdf

金融庁資料より

https://www.fsa.go.jp/singi/kakei/siryou/20170203/03.pdf

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190412/03.pdf

金融庁 人生100年時代における資産形成よりhttps://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190412/03.pdf