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地方銀行と証券会社で働く筆者のお金にまつわることを発信するブログです。

マネーゲームに巻き込まれないで下さい。

マネーゲームという言葉をご存知でしょうか。資産運用の世界やスポーツ業界で使われる言葉です。スポーツ業界では選手を獲得するために契約金や年棒で競い合うことをさします。資産運用の世界では投機のことを主に指します。これは簡単に表現すれば「どれだけお金を掴めるかの競争」です。

 

当ブログでは、お金という、世界中に散りばめられる資産の奪い合いを広義でのマネーゲームと定めます。例えば日本円という通貨があります。通貨の量には限りがあり、資本主義の元、人々はこの通貨を競って集めようとしています。

 

他社よりも多くのお金を保有したいという欲求は、その人の生活を狂わせ、気分を落ち込ませ、ストレスの激しい人生に陥れさせるものです。誰しもが身に覚えがあることだと思います。同僚や友人の方がお金を多く持っていると、自分は負けていると感じ、もっとお金を持つことができれば幸せになれると考えます。

 

自分は国産の安い乗用車なのに、隣の家はメルセデスベンツBMWジャガーアウディに乗っているのを見ると、自分は隣の家の人よりも劣っていると感じます。もっとお金を稼いでいつか隣に人に勝ってやると、途方もない競争心を抱くのです。

 

人はどれだけの物を保有しても満足しない生き物です。物を多く持つことの不都合さは今後も色々と記事にして書いていきますが、物欲は際限がありません。何か買えばまた別のものが欲しくなるのです。

 

何故働いているのか、生きるためです。とてもシンプルな話ですが、苦労して稼いだお金で買っているものは果たしてどれも生きていくために必要なものでしょうか。本当は必要ないのに見栄で買ってしまったものはないでしょうか。そして、今度は買った物を管理するのにまたお金が必要になったりします。

 

物を買い、お金が減る、だからまた働く。この繰り返しです。永遠と続いていく負の連鎖です。やがて普通に働くだけでは自分の欲しいものが全ては手に入らないことを知り、人はマネーゲームに手を出していくのです。

 

可及的速やかに自分のお金を増やしたい。誰しもが思うことです。もっとお金があれば高級なフレンチやイタリアンを気兼ねなく食べられる。お高い羽毛布団とベットに包まれて眠れる。美しいブランドの服やカッコいい車に乗れる。

 

頑張ってお金を稼ぎ、これらのうち何かを手にしたとき、再度お金はなくなります。そうしたらまた働かなければいけません。やりたい訳でもないし好きな仕事でもないけど、生きていくためには仕方がないと、自分の命を切り売りして些細なお金とストレスを手に入れる訳です。

 

残念ながら、マネーゲームでは幸せにはなれません。投機というものは、場にあるお金の奪い合いです。お金の総量は常に変わりません。ただ所有者が変わるだけです。誰かが勝てば必ず誰かが負けます。そして、株式市場では情報も知識もない個人がいくら短期売買をしても、よほどの才能がない限り勝ち続けられません。

 

投機に誘う広告は数多いです。「私はこの方法で資産を10倍にしました」とか「ローリスクで利回り15%」とか、あたかも誰にでもそれくらい稼げるようになると人の物欲を刺激します。理論的には可能かもしれませんが、言うは易し行うは難しです。

 

証券会社に勤めていると、大半のお客さんは投機を好むのが分かります。証券売買を投資の観点で考えている方は非常に稀です。今はどの株を買えば儲かるのかという話ばかりして、企業の経営状態など気にも留めていません。根拠のない売買に強固な意思はないので、相場が不安定になると途端に投げ売りしたくなります。結果として損をします。

 

私も昔は欲に駆られた売買を行い大損したことがあります。だからできるだけ短い期間で利益を拡大させたい人の気持ちはわかりますが、残念ながらお金を大きく増やして終われるのはほんの一握りの人だけです。

 

お金の勉強をしていると、そもそもお金をたくさん保有することでどれだけ幸せになれるのかという問題にぶち当たることになります。今多大なリスクを犯して投機に走っている方々には是非この問いかけを考えていただきたいと思います。

 

マネーゲームはお金の奪い合いです。リスクをとっても果たして人生を大きく変えるほどのお金が簡単に手に入るでしょうか。そもそも、人生を大きく変えるくらいのお金はいくらくらいでしょうか。100万円ではほとんど何も変わりません。1000万円あればそれなりの車は買えるでしょう。5000万円あればマンションや家が買えるかもしれません。

 

だからどうなのでしょうか。お高い車は税金もランニングコストも高いです。家やマンションを買えば固定資産税を毎年払い続ける必要が出てくるでしょう。いずれにせよさらなるお金が必要になるだけです。そしてまたやりたくもない仕事をするのでしょうか。

 

証券投資は、確かに損失を被る可能性がある資産です。しかし、ちゃんとした銘柄を選べば長期間に資産価値を上げてくれる味方になるはずです。欲しいと思っている物は、本当に生きていくために必要でしょうか。他人よりも優位に立ちたいだけの競争心はいずれ身を滅ぼしかねません。

 

簡単にお金を設ける方法は少なくとも真っ当なやり方では存在しないです。ご自身に必要なお金はどれくらいなのか、それをよく考えて資産運用をした方が良いと思います。

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