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地方銀行と証券会社で働く筆者のお金にまつわることを発信するブログです。

株式、投信の販売手数料ゼロへの流れについて。

投資信託の購入手数料無料、いわゆるノーロード投信が生まれてからもう6年以上になりますが、最近はそこに新たに個別株式も手数料無料にする流れができています。

 

そもそもは1999年の手数料自由化の中で、余計な店舗や営業員を配置しないことでコストが抑えられるネット証券が主導して手数料を引き下げて行きました。現在の株式や投信のコスト差は、対面証券とネット証券では恐ろしいほどの開きがあります。

 

例えば自分が勤務している対面証券会社と大手ネット証券である楽天証券の基本的な手数料コースを選択した場合、個別日本株式を100万円分決済した際にかかる手数料はなんと楽天証券約22倍になります。

 

大手の手数料を比較してみましょう。

日本株式を対面取引とネット取引で100万円購入したさいの手数料は以下の通りになります。

 

野村証券

・対面取引・・・12,188円

・ネット取引・・・1,048円(ネット専用支店)

大和証券

・対面取引・・・12,650円

・ネット取引・・・9,482円

みずほ証券

・対面取引・・・11,550円

・ネット取引・・・3,465円

SBI証券 and 楽天証券

・ネット取引・・・535円

(*2019年12月1日時点)

 

この数字を見てもらえれば明らかですが、対面取引の手数料はネット取引と比べて明らかに割高すぎるものです。芸術品や工業製品を買うわけではなく、株式です。どこで買っても全く同じものです。それが、買い方が違うだけでここまでの差が出るわけです。これは全くもって恐ろしい話です。

 

こんなビジネスがしばらくまかり通っているのは、対象となる顧客が高齢者だからです。一概に高齢者と言ってもそれぞれですが、往々にしてネット知識が若い人と比べて欠けています。ですのでネット取引の方が手数料が安いと知っていても自分ではできないからと慣れている方で取引してしまっています。

 

また、営業員がついた方が専門的なアドバイスを受けられると考えておられる方が多いです。これに関してはご自身の売買記録を見直してみればそんなことは考えられなくなる方が過半数だとは思いますが、情報提供できるのが対面の売りだと訴える証券会社がほとんどです。

 

フィンテック企業が金融サービスに参入することで、大幅にコストを下げた取引ができる仕組みができてきました。海外の若い金融機関では取引手数料で稼ぐのではなくアドバイザー料で手数料を払ってもらう代わりに売買手数料はかからないとか別の手数料収入をメインに切り替えてきています。

 

今はまだ資金を豊富に持つのが高齢者なので、この異常とも言える手数料の差があるにもかかわらず、対面取引を主とする証券会社はしばらくは生きていけるでしょう。しかしすでに今のミレニアル世代である20〜30代の若者はこれらの情報を知っているものがほとんどであり、彼らは対面証券で取引はしないでしょう。高齢者の相続金はやがては若い人たちに渡ります。その時に、彼らが対面営業の取引に応じるとは思えません。

 

ネット取引もできる、だけでは店舗も人員もいるわけで、ネット専業にはどうしたってコストで勝てるわけがありません。今の証券会社の営業マンのほとんどは手数料を取るために仕事をしている連中です。顧客の利益には対して関心はありません。こう言った人たちがどれだけの信頼を築けるかは甚だ懐疑です。

 

断言できますが、対面証券を中心に営業している証券会社は近い将来合併なり何なりで体力のないところから消えて無くなっていくでしょう。根本的にビジネスモデルを見直さない限り証券会社に未来はありません。将来性を感じなくなった人からどんどん辞めていっているのが現状の証券業界です。昔と違うので頭ごなしにやれやれしろしろと怒鳴るだけでついていく若者はいません。

 

私は極力お客さんに迷惑をかけないように、基本的に回転売買で稼ぐようなやり方はできる限り避けています。そうしないと稼げないくらいなら辞めた方が良いし、そうしなければ生きていけない会社なら潰れてしまった方が良いとも思っています。別に来たくて来た会社でもないですし。

 

とにかくですね、これを読まれている方には証券会社の口車には簡単に騙されず、しっかりと判断して取引をしていただくよう願います。中には優しい営業員も少なからずいますが、そう言った方は仕事の理不尽さに耐えられず早期に辞められやすいです。

 

手数料を気にしないというのは投資家としてはアウトです。コストカットは経営においても投資にとっても一番最初に取り組むべき課題です。無駄な手数料を払わずに投資を行ってください。

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